F1関係者たちは昨年まで圧倒的な強さを誇っていたレッドブルを、開幕戦のオーストラリアGPでたった1度負けたからといってまだ見限るのは早いと考えている。
オーストラリアGPでは、F1を2連覇中のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が2位に入った。その結果だけを見れば、それほど悪いものではない。しかし、今回のオーストラリアGPでベッテルは、一度もトップに立つことなくレースを終えた。
だが、オーストラリアGPで勝利を飾ったジェンソン・バトン(マクラーレン)は次のように話している。
「彼らを軽視することはできないよ。レッドブルが強敵であることに変わりはない。でも、形勢が変わってきたみたいだね」
一方、ドイツの伝説的な元ドライバーであるハンス・ヨアヒム・シュトックが、『Sport1(シュポルト1)』へ次のように述べている。
「これはシーズンの残りに向けた基準となるものではない。マレーシアのサーキットはもっと重要だ。マレーシアで速いものはどこででも速く走れるからね」
しかし、マクラーレンはオーストラリアGP後に、実際にはもっと力を発揮できていたはずだとほのめかしている。
『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』紙は、次のように語るマクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュの発言を引用した。
「われわれの燃料にはまだ余裕があった。(オーストラリアで)もっと速く走れていたことは間違いない」
しかしベッテルは、レッドブルもオーストラリアでは力を出し切っていなかったとして、次のように話している。
「メルボルンでは僕たちのクルマの挙動について多くのことを学んだ。クルマは素晴らしい力を秘めているよ。マレーシアではマクラーレンに楽なレースをさせないようにする必要がある」
かつて3度F1チャンピオンに輝いた実績を持つニキ・ラウダも「レッドブルはすぐに追いついてくるだろう」とコメントした。
また、レッドブルのアドバイザーであり、ドライバー育成責任者でもあるヘルムート・マルコは次のように語っている。
「われわれはまだクルマからすべての能力を引き出せていない。だから次のレースに向けてはとても楽観的に考えているよ」
マルコはさらに、『laola1.at』へ「マクラーレンだけがわれわれと比肩する存在だ」と述べるとともに、オーストラリアGP前には強いと考えられていたメルセデスAMGに対して次のような手厳しい言葉を浴びせた。
「彼らはまるで動くシケイン(※)だったよ」
(※)ペースの遅いクルマのこと。大きく減速するシケインになぞらえてこう呼ぶ。批判的な意味が込められることも多い。