F1マレーシアGPでザウバーでは、レース終盤までセルジオ・ペレスがフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)と優勝を争い、ペースでは明らかにアロンソのフェラーリを上回っていた。資金力ではフェラーリなどに劣るザウバーが速さを見せられた理由は何だったのだろうか?
雨がらみのレースとなったマレーシアGPでは、ペレスのタイヤ戦略が成功したとの見方もある。レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーも、マレーシアでのペレスがタイヤをうまく使えていたと指摘する。しかし、ザウバー勢は開幕戦のオーストラリアGPでも速さを見せ、2台ともスタート直後にクルマが損傷していたにもかかわらず、そろってトップ8に入る活躍を見せていた。
今年のザウバーが速さを見せている理由のひとつとして考えられるのは、ブロウンディフューザー時代の終えんだ。さらに、トップチームであるレッドブルが、ザウバーの2012年型車を模倣した点にも注目が集まっている。クルマの後方にあるディフューザーへ排気を流し、クルマを路面へ押し付けるディフューザーの効率を上げるブロウンディフューザーは、昨年のF1で多くのチームが取り入れていたが、今年から禁止された。
ザウバーは、リア周りの設計で成功したとされており、フェラーリもザウバーのリア部分を参考に2012年型を大幅改良するとみられる。『Autosprint(アウトスプリント)』誌は、フェラーリが投入予定の改良版のクルマを、フェラーリとザウバーのチーム名を組み合わせて「Ferrauber(フェラウバー)」と呼んでいるほどだ。
ブロウンディフューザー禁止について、ザウバーのチーフデザイナーであるマット・モリスは「(2011年シーズンにブロウンディフューザーを使用しなかった)われわれは、ライバルたちよりもあきらめなければならないものが少なかったんだ」と語っている。
また、ザウバーのチーム代表ペーター・ザウバーも「レッドブルがわれわれと同じ道を選んだと分かったとき、自分たちの選択が正しかったのだと確信した」と胸を張る。
今年のザウバーが速さを見せている要因としてもうひとつ挙げるとすれば、ノーズに作られた穴だろう。今季、レッドブルがノーズに空気の取り入れ口とみられる穴を作って話題になったが、ザウバーもノーズに穴を設置した。しかし、ザウバーの穴はレッドブルのものとは異なり、2008年にフェラーリが採用したような形状になっている。
「それがキーポイントというわけではないが、多少のラップタイム短縮にはつながっている」とモリスもその効果を認めた。
さらに『Autosprint(アウトスプリント)』誌は、ザウバーが後輪の前あたりでも、規約上グレーゾーンとなっている部分をうまく利用していると指摘した。