「クラッシュトール」こと、パストール・マルドナード(ロータス)の悪癖がどうしても治らない。
彼が最近、起こした事故から経過した時間を示す『HasMaldonadoCrashedToday.com』なるウェブサイトも実在するほどだが、今までは、ベネズエラ政府系のスポンサーから払われる多額の契約金のおかげで何ごともなくグリッドに並ぶことができた。
だが、ついにロータスCEOのマシュー・カーターは今週、マルドナードにイエローカードを出した。いかに彼がチームを潤しているとはいえ、コース上の成績を求められない「ドライバーはいない」と明言したのだ。
副代表のフェデリコ・ガスタルディも、「パストール(マルドナード)のシーズンは波乱の幕開けを迎えた。まるで彼のマシンは他のドライバーに狙い撃ちされているかのようだ」といいだす始末。
もっとも当の本人は、振りかかる火の粉を気にする様子がない。
「いいや、全然」とイギリス『Sky(スカイ)』に語るマルドナード。「たまには文章を読んだりソーシャルメディアで目にすることもあるが、そんなの普通だろう」
「たとえ他のドライバーが原因でも、僕がミスしたり事故を起こしたら、それは僕の責任なのかな」
マルドナードが身構えるのは、彼にレースに批判的な者ばかりではない。政権政党の一存でベネズエラ国営石油会社PDVSAからマルドナードに渡る多額の資金を問題視する「政敵」も、ありがたくない存在だ。
「プレッシャーが大きいのは確かだ。でも付き合っていくしかない。それがF1だからね。プレッシャーに囲まれているようなものだから」とマルドナードはいう。
ところが、今やその一部はチーム内部から来ているとみられる。3,000万ドル(約35億9.000万円)から4,000万ドル(約47億9,000万円)といわれるマルドナードの持参金とコース上の結果が天びんにかけられている模様だ。
ロータスは2014年の大不振を払拭すべく、今季、パワーユニットをルノーからメルセデス・ベンツにスイッチ。マシンもそれなりの性能を備えている。ところが12ポイントを上げているチームメートのロマン・グロージャンに比べてマルドナードの得点は、未だゼロだ。
「確かにパストールはチームを金銭的に助けている」とバルセロナでF1公式サイトに語るのは、フランス人ドライバーのグロージャン。
「そして速さも持っている。2台揃ってポイントを上げたいところだが、僕一人の力ではどうしようもない。僕は自分でできることをするだけだ。別に他意はない」