F1モナコGP(24日決勝)で関係者は皆ジュール・ビアンキに思いをはせている。
ビアンキは昨年10月の日本GPで起きた事故で脳に損傷を負い、モナコから30分ほどのところにあるニースの病院で今も昏睡状態にある。
2014年のモナコGPで、ビアンキは素晴らしい活躍を見せた。最後尾が定位置だったマルシャ(現マノー)で9位フィニッシュを果たしたのだ。そのとき獲得したポイントのおかげで、マルシャは最終的にチーム別のコンストラクターズ選手権で9位になり、貴重な分配金を手にすることができた。
それを元にチームを立て直したマノーは、昨年のビアンキの活躍を記念して、ビアンキのイニシャルとカーナンバーである“JB17”と入った赤いリストバンドを作ってモナコGPに臨んでいる。
■昨年のモナコGPは「奇跡」
ビアンキと親しいフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)は、20日(水)に1年前のモナコGPを振り返ってこう語った。
「競争力がないマシンに乗ってあれだけのことをやるなんて、ほとんど奇跡だよ」
「ここに戻ってきたのに彼はいない。それがすごく悲しい」
「僕たちはどのレースウィークでも彼のことを思っている。でもここでは、起きたことを飲み込むのがほかより少し難しいんだ」
■痛切な家族の思い
ビアンキの祖父でフォーミュラ2で活躍したマウロ・ビアンキは、家族の思いを『RMC』に語った。
「私はジュールを定期的に見舞っている」
「私たちは待ち、祈り続けている。医者は何も言わない」
「だがこういうケースでは、家族は小さなことに目をとめるものだ。彼が動いたとかね。それは反射に過ぎないから大した意味はないと言われることもある。彼が負ったようなケガの場合、かなりの時間がかかることは知っている」
「問題は、彼は戻ってくるのか、これからどうなるのかだ。それを考えることが私たちにとって一番つらい」
■回復を信じる親友
ビアンキの親友であるGP2ドライバーのノルマン・ナトーはこう話す。
「彼への応援は素晴らしいことだと思う」
「僕たちは彼を応援し続けなければいけないし、忘れてはいけないと思う。たとえ時間はかかっても、いつかまた彼と会えると僕は今も信じている。それが競技の場でなくてもね」
「彼はこれからも僕の親友だ。また彼に会えるはず。早くその日が来ることを願っている」