2014年のF1で最悪の結果に終わったザウバー。一転して今季は巻き返した彼らだが、安穏としてはいられない。
「そうですね、2014年は悲惨のひとことでした」とチーム代表で共同オーナーのインド系オーストリア人、モニシャ・カルテンボーン。
だが2015年の幕開けも、昨年に負けず劣らずひどい有り様だった。前ドライバーのギド・ヴァン・デル・ガルデと契約で揉め、カルテンボーンは危うく投獄されかけた。
そんな彼女をブラジル『Globo(グローボ)』のリヴィオ・オリッキオ記者が取材。開幕当時を振り返ろうと質問をしたところ、カルテンボーンは「見るからに動揺した」という。
「あの出来ごとには、誰もが強い意見をお持ちですね」とカルテンボーン。「彼(ヴァン・デル・ガルデ)にマシンの運転が不可能だったことは、必ずしも皆が理解していません。そうした事情があるのに、私のオフィスからスーパーライセンスの申請はできません」
「FIA(国際自動車連盟)も、彼にライセンスは発行しないとはっきり言っていました。それも私の口からは言えなかったのです。ただ皆に言われるがままでした」
「マスコミの論評は極端でした。実際に何が起きていたか知りもせずにね」
フェリペ・ナッセとマーカス・エリクソンのラインアップが確定すると、チーム状態は好転。最新マシンのC34は昨年型から大きく進歩していた。
カルテンボーンは、2014年を振り返って次のように言う。「2013年は、なかなか選手権のポジションを上げられませんでした。そこで2014年に開発の重点を移したのです」
「まさかパワーユニットによってあれほどの性能差が生まれるとは、夢にも思いませんでした。私たちの場合、パワーユニットに加えて車体も問題含みで、不振の深刻度が増大したのです」
2015年にフェラーリのカスタマー仕様エンジンが進化したのは明らかだ。だがカルテンボーンは、ザウバーのマシンもかなりよくなったと話す。
「パワーユニットの供給元(フェラーリ)が頑張ったのは確かです」「しかし、私たちもクルマの弱点を突き止め、改善しようと努力しました」
「チーム状態はよくなりましたが、これで満足はしません」
ザウバーは開幕から勢い良く飛ばしたが、より大きな予算を持つライバルチームたちが徐々に差を詰めてくる。
カルテンボーンはいう。「むろん、マシンの開発計画は予算に関係します。しかし、他チームは他チーム、私たちは私たちの道を行きます」
「シーズンを通じて新パーツを投入します。今のところ私たちの位置は、グリッドの中団です」
「過去2戦のように、今後もレースによって順位は上下するでしょう」
もし、より大きな予算を手にしたら。そんな質問にカルテンボーンは、ちゅうちょなく次のように答えた。「クルマの開発に費やします。具体的に何処と言うのは難しいですが」
「今やっていることを続けるでしょうね。ただし、より大きな性能向上を生み出そうと新パーツの数を大幅に増やします」