バーニー・エクレストンの地位を引き継ぐ有力候補とみられていた人物がF1からいなくなった。
英酒造会社ディアジオの前CEO、ポール・ウォルシュが次世代のF1リーダー候補としてマスコミに取り上げられたのは昨年のこと。
当時は、エクレストンを「飾りもの」的な存在にするか、少なくともエクレストンの職域に「割り込む」のがウォルシュの目論みと報じられた。
対するエクレストンは、次のように話していた。「彼(ウォルシュ)にそんなことが可能ならね。だが、しかるべきポストに就くのが話として先ではないか?」
しかして昨年のクリスマス直前、F1の権利を持つCVCはウォルシュを取締役として正式に任命。議決権のない重役のイスが与えられたのだ。
ところがイギリス『Sky(スカイ)』の経済記者マーク・クラインマンによると、これまでウォルシュが同職についた事実はないという。
CVCはコメントしていない。
規則がF1の魅力を損ねているとされる中、ウォルシュ絡みのニュースはタイミング的に興味深い。
今のエクレストンは、F1の意思決定プロセスにひどく不満だ。民主主義の原則にもとるが、マックス・モズレー前FIA(国際自動車連盟)会長と2人で物ごとを決める時代のほうがよかったと彼は言っている。
「何を変えたいかだって?何もかもだ!」とエクレストンは先週、フランス『Canal Plus(カナル・プリュス)』に話している。
「ジャン・トッドは、非常に民主主義的な会長だ。誰をも満足させたがる。ところがF1は負けず嫌いのチーム揃いだ。皆をハッピーにするのは不可能だ」