今年のル・マン24時間レースで、初挑戦で初優勝を飾るという快挙を成し遂げたニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)。だが、ヒュルケンベルグはほかのF1ドライバーたちが自分と同じようにル・マンへの挑戦を行うというような流れが出てくるとは考えていないようだ。
【結果】F1オーストリアGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
ル・マン24時間レースのわずか1週間後に開催されたF1オーストリアGPでは、ヒュルケンベルグは予選で5番手となる活躍を見せた。これはチームメートであるセルジオ・ペレスの16番手を大きく引き離すものだった。
ヒュルケンベルグ自身も、この予選結果は「奇跡だ」と語っていた。
フォース・インディアでは、次戦イギリスGP(7月5日決勝)からBスペックと呼ばれる改良型車を投入する予定となっている。ヒュルケンベルグはオーストリアGP決勝でも6位入賞を果たし、このBスペック投入に向けてはずみを付けて終えている。
■ル・マンの成功で新たなチャンスも?
だが、世界でも有数の伝統レースであるル・マン24時間で優勝したことで一躍注目を浴びることになったヒュルケンベルグには、中堅チームであるフォース・インディアからもっと上位チームへと移籍する可能性も膨らんだのではないかとささやかれている。
「あの勝利は自尊心や自分の自信という意味ではいいものだった」
そう語ったヒュルケンベルグは、「だけど、ル・マンがなかったとしても(F1で)もっとゆっくり走ったりはしなかったし、すでにモントリオール(カナダGP)でもいい結果を残していたしね」と付け加えた。
だが、ある意味では、ヒュルケンベルグがル・マンで大きなチャンスをつくることに成功したとも言えるだろう。
そのヒュルケンベルグの活躍に刺激され、ほかのF1ドライバーたちの中にもル・マン参戦を目指すものが出てくるのではないかという見方もある。
■アロンソもル・マンに興味
今季マクラーレン・ホンダに移籍したフェルナンド・アロンソに関しても、当初ヒュルケンベルグとともにポルシェの一員として今年のル・マン24時間レースにチャレンジすることになりそうだと言われていた。だが、移籍したマクラーレン・ホンダ側がこれを認めなかったのだろうと考えられている。
アロンソは、オーストリアで「多分、来年は出るかも。分からないけどね」と語っている。
だが、ヒュルケンベルグは、アロンソに限らず、ほかのF1ドライバーたちが自分と同じようにF1とかけもちでル・マンに出るのは難しいのではないかと考えている。
■かけもちを認めないチームのほうが多い
「ドライバーがそうすることを認めないチームのほうが多いと思うよ」
「もちろん、このチーム(フォース・インディア)はプライベートチームだし、ビジェイ(チーム代表のビジェイ・マリヤ)はレースの大ファンなんだ。だから、僕は運よくそれ(ル・マン出走)を許してもらうことができた」
『New York Times(ニューヨーク・タイムズ)』にそう語ったヒュルケンベルグは、次のように付け加えた。
「だけど、ほかのチームだったらどうかな。もし、フェラーリとかメルセデスといった自動車会社のチームのドライバーだったとしたら、ポルシェに加わることを認めてはもらえなかっただろうね。人生とはそういうものさ」