ルノーの将来がちっとも定まらず、F1パドックにいる多くは、いったんその話題にフタをしている状態だ。
金曜日のフリー走行、ロータスはタイヤの供給を受けられず、危うく走れないところだった。仏自動車会社ルノーと売買交渉を行なっている彼らは、溜まりに溜まった取引先への支払いを留保しているのだ。
内情を知る者は、ピレリへのツケは50万ドル(約6,100万円)に及び、他にもロータスは多くの業者に借りがあると話す。イギリス『Times(タイムズ)』紙によると、金曜日のフリー走行に登場するペイドライバーのジョリオン・パーマーさえ「金を返して」ほしいと言っている。
フィンランド『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙のヘイッキ・クルタ記者は、今週パリで、チームオーナーのジェニイ・キャピタル社とルノーCEOカルロス・ゴーンが会って話し合うと伝えた。
その情報に関連して、F1でルノーの中心的なパートナー、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌上で次のようにコメントした。
「今後2週間のうちに将来にわたるルノーの計画が知りたい」
なぜホーナーは結論を急ぐのか。それはゴーンがF1撤退を完全には否定していないからだ。「そうなったらわれわれは、メルセデス、フェラーリ、ホンダのうち一社からエンジンを調達しなければならない」
レッドブルと同様、ロータスもルノーの決断を待っている。もしチームが買われたら、遅れている支払いはすべて新オーナーがめんどうをみなければならない。
現行マシンのE23も開発がストップしている状態だ。
「いったい何がどうなっているんだろうね」と話すのは、ロータスのパストール・マルドナード。
彼の僚友ロマン・グロージャンは、メディアを通じてルノーによるチーム買収を訴えている。フランス人ドライバーがフランスのワークスチームでF1に乗れるかどうかの瀬戸際だ。しかし、今はこう着状態にある。
「チームを売ろうというのに金は出さないだろ。だって、損するだけじゃないか。何だか時間が止まったような感じだよ」とグロージャン。
バーニー・エクレストンとの交渉もストップしたままだ。もしルノーがフルワークスとしてF1に戻れば、エクレストンから払われる分配金が増えるかもしれないのだ。
ホーナーは、我慢の限界といった体である。
「ルノーが再びF1に関わるのは大いにけっこう。それによって彼らの商業的な条件も変わるだろう。だがそれは、チーム側(レッドブルとトロロッソ)の知ったことではない」