ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』が、レッドブルが来季もルノーエンジンを搭載してF1にとどまることがほぼ確定的となったと報じている。
今季限りでルノーとのエンジンパートナー解消を宣言したレッドブルだったが、来季に向けたほかのエンジンメーカーとの交渉は難航。もし来季もF1を続けるのであれば、レッドブルに残された選択肢はルノーとの関係復活を果たすことだけだと言われていた。
だが、そのルノーが自らのワークスチーム立ち上げを目指してロータスの買収を検討していることは周知の事実であり、うわさでは今季のF1最終戦アブダビGP(29日決勝)においてそれを正式発表する予定になっていると言われている。
■2016年限りの暫定策としてインフィニティ名を使用か
こうした状況のもと、『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』のラルフ・バッハ記者とビアンカ・ガーロフ記者は、レッドブルでは2016年には恐らくインフィニティというブランド名を冠したルノーエンジンを搭載するのではないかと推測している。
現在、ルノー傘下の日産自動車が海外で展開する高級自動車ブランドであるインフィニティは、2013年からレッドブルのタイトルスポンサーを務めており、以前もルノーエンジンにインフィニティというブランド名を付けることが検討されたことがあった。
そして、それは2016年1年限りの暫定的な対応策となるだろうという。F1統括団体であるFIAが、2017年から独立系エンジンメーカーをF1に参入させ、現在のパワーユニットと並行して2.2リッターツインターボエンジンを投入する計画を進めているからだ。
FIAでは、そうした“クライアントエンジン”と称される独立系メーカー製のエンジンは、現行パワーユニットよりもかなり安価となり、財政的に苦しい立場に置かれている小規模チームに対する救済策ともなるだろうとしている。
■2017年導入の「クライアントエンジン」に期待するレッドブル
だが、関係者の中には、FIAのジャン・トッド会長とF1最高責任者であるバーニー・エクレストンが後押ししているこの計画は、非常に複雑な政治的状況を抱えている現在のF1にあって、単に現在の自動車メーカー系エンジンサプライヤーに対して圧力をかけることを狙ったものに過ぎないと見ている者もいる。
だが、こうした意見に対し、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは『Der Spiegel(シュピーゲル)』に、メキシコにおいてトッドと「非常に長い時間に及ぶ建設的な話し合い」を持ったことを明かし、トッドが「2種類のエンジンを並行使用するためのレギュレーションを導入することを約束した」と主張している。
マルコによれば、レッドブルは現在の状態から抜け出すために、「長期的視点」を持ち、あともう1年は中団グループに低迷することを受け入れる用意があるという。
そして、このインフィニティブランドを付けたルノーエンジンで2016年に戦うことが実現するためには、あとはレッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツの調印が必要なだけの状況になっているという。そして今月の20日(金)までには、正式に調印が行われると考えられているようだ。
■トロロッソはフェラーリの旧スペックエンジン搭載に
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、最近、マテシッツがF1を続けたいと考えていることは確かだと次のように語っていた。
「彼はチームがF1を続けると約束していたことや、チームの技術や決意を理解している。彼は解決策を見いだしたいと願っているし、その実現に向けて、目に見えないところで多くの交渉に加わっているよ」
一方、世界的エナジー飲料メーカーが所有するもうひとつのチームであるトロロッソに関しては、うわさされていた通り、来季は2015年仕様フェラーリエンジンを搭載することになりそうだと伝えられている。