2015年シーズン開幕時には、まだ自動車運転免許を取ることもできない17歳の少年が世界最高峰モータースポーツであるF1にデビューすることが大きな話題となった。
だが、そのマックス・フェルスタッペン(トロロッソ)は、周囲の心配をよそに、随所にその並外れた才能を示してみせた。
先週末に行われたF1ブラジルGP(第18戦)では、F1カーが列車の車両のように連なって走る光景が続き、面白みの欠けるレースだったと評されている。だが、2年連続で3度目のF1王座に輝いたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)をして、追い抜きは不可能だったと言わしめた今年のインテルラゴス・サーキットで、フェルスタッペンはセルジオ・ペレス(フォース・インディア)やフェリペ・ナッセ(ザウバー)を卓越したテクニックを披露して追い抜いてみせていた。
■フェルスタッペンに弱点なし
トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストは、フェルスタッペンについて次のように語った。
「マックスには弱点というものがないんだ。彼はすべての部分においてすでにかなりの力を持っている。これからさらに経験を積むことで、彼はその強さを増していくだけだ」
フェルスタッペンと同じオランダ出身の元F1ドライバーであり、最近F1公式タイヤサプライヤーであるピレリとテストドライバー契約を結んだギド・ヴァン・デル・ガルデも、後輩にあたるフェルスタッペンの活躍ぶりには驚きを隠せないようだ。
昨年はザウバーの控えドライバーを務めていたヴァン・デル・ガルデは、今シーズンの開幕戦が開催されたオーストラリアでレースシートを取り戻すためにザウバーを契約不履行で訴え、勝訴していた。
結局、ザウバーと和解し、F1ドライバーとしてのレース復帰はかなわなかった30歳ヴァン・デル・ガルデは、フェルスタッペンについて世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブルのオランダ語ウェブサイトに次のように語った。
「マックスとレースがしてみたかったよ」
「今シーズン序盤には絶対面白いレースができていたと思うよ。ザウバーもあのころはかなり競争力があったからね」
「だけど、シーズンが進むにつれてザウバーはあまり開発が進まなかったから、僕がマックスをわずらわせるような存在であり続けることはできなかったと思うよ」
■フェルスタッペンはさらに自信を強めた
今季、フェルスタッペンのチームメートとして20歳でF1デビューを飾ったカルロス・サインツもルーキーとしては素晴らしい活躍をしていると言えるだろう。だが、18レースを終えた時点でフェルスタッペンが49ポイントを獲得しているのに対し、サインツは18ポイントしか獲得できていない。
「サインツに関しては、ここ最近のレースでかなり多くのミスを犯していた。彼は今かなりプレッシャーを感じているのだと思う」
そう語ったヴァン・デル・ガルデは、次のように続けた。
「マックスは違うよ。彼はよくなっていくばかりだ。今の彼はすべてがうまくいっているし、それによってさらに自信を強めている。F1では自信を持つことがすごく重要なんだ」
フェルスタッペンには、元F1ドライバーであるヨスという父親が常に付き添っているのはよく知られていることだ。ヴァン・デル・ガルデは、それもフェルスタッペンにとっては大きな助けになっているようだと次のように続けた。
「ヨスは、マックスにとっては願ってもない最高のコーチだよ」
「僕が何か彼に助言できることがあるとすれば、今やっていることを続けるようにしなさいということくらいかな。それは、がむしゃらにレースをするということさ」
■フェルスタッペンにはF1王者の資質
フェルスタッペンのマネジャーを務めるレイモンド・フェルミューレンは、かつてヨスのマネジメントも担当していた人物だ。そのフェルミューレンは、フェルスタッペンには素晴らしい未来が待っていると次のように語った。
「彼がすでにやってみせていること、そして彼がどれほど大きく成長したかということを見れば、彼が偉大なドライバーになることは間違いのないことだ」
「マックスがオランダ人として初めてF1で優勝するであろうことは100%間違いないよ。もう少しの間、我々は現実的である必要があるがね」
「我々はまだ学習段階だし、ジュニアチームに所属する学生なんだ。レッドブルはマックスに学ぶための時間を与えてくれている。だが、そうした取り組み方は非常に素晴らしい結果を生むだろう。私はそう確信している」
そう語ったフェルミューレンは、次のように付け加えた。
「私は、彼はF1チャンピオンになるために必要なすべての資質を備えていると思っているよ」