F1の安全性を重視する姿勢に対して疑問が投げかけられている。
F1第11戦ハンガリーGPでは、予選で激しい雨が降り、スタートが20分間延期されたほか、Q1では4回も赤旗中断になったため、Q2開始までに約1時間がかかった。
メルセデスAMGビジネス部門のエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、スタートを遅らせたF1競技委員長チャーリー・ホワイティングの判断を支持している。
■慎重なのはビアンキの事故があったからとヴォルフ
ヴォルフは、ハンガリーGP予選は「水が多すぎた」としているが、直前の雨のためにセーフティーカー先導でスタートした第10戦イギリスGPについては次のように語っている。『Speedweek(スピードウィーク)』が伝えた。
「だが、シルバーストンは別のケースだ」
「私ならセーフティーカー先導で数周してから通常のスタートを行っただろう」
「ただ、ビアンキの事故があったから、現在われわれは、状況によっては少し過度に慎重になっているのかもしれない」
ジュール・ビアンキは、2014年の日本GPで雨の中コースアウトし、ランオフエリアで他車を撤去中だった重機に激突、昏睡から目覚めないまま翌年亡くなった。
■今の安全第一は行きすぎ
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、危険性があるからF1は人気があるのだと『Bild am Sonntag(ビルト・アム・ゾンターク)』紙に話している。
「F1ファンが“自分ならあんなことはやらない”と言うようでなければ。人気が高まったのは、危険もこのスポーツの一部だからだ」
「今のこの安全第一はナンセンスだ。ハローなどというばかばかしいシステムはF1を完全に破壊するだろう」
「舗装したランオフエリアを作りながら、サスペンションを折るような縁石といったクレイジーなアイデアを取り入れ、今度は、白線をタイヤが1本、2本、3本、4本超えたかどうかだ。どれもレースとは何の関係もない。間違っていることが多すぎる」
「安全性が重要なのは分かる。だが、スキーのほうがF1より危険だなどということになってはならない」