チャンピオンが決まるF1最終戦アブダビGP(27日決勝)を前に、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンは心理的な「トリック」を仕掛けているとビジネス部門のエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは考えている。
ハミルトンは、たとえアブダビGPで優勝しても、チームメートのニコ・ロズベルグが2位か3位だった場合はチャンピオンになれない。
■10年後に暴露本を書くとハミルトン
24日(木)の記者会見では、今シーズン初めにハミルトン担当とロズベルグ担当のメカニックが5人ずつ入れ替わったことについて質問が出た。誰のアイデアだったのかと聞かれると、ハミルトンはこう答えている。
「それはすごくいい質問だね」
「10年後に出す僕の本を買わなきゃいけないよ。何があったか詳しく教えるから。きっと面白い読み物になるよ」
これについて聞いたヴォルフは、「10年後に私も本を書くかもしれないね。その中に何か書くことにしよう」と話した。
非常勤会長のニキ・ラウダも、『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』に次のように答えている。
「ルイスは冗談を言っていたんだろう」
「だけどね、もしトトと私が本を出すとしたら、彼の本よりずっと長くなるだろうよ」
■ロズベルグのことをチャンピオンと思えるか分からない
ハミルトンは、たとえロズベルグがチャンピオンになっても、心の中では認めないと話している。
「これは自分の心の中に留めておくべきことだけど」
「今シーズンの自分のパフォーマンスを考えれば、彼がチャンピオンの称号を手に入れたとしても、僕にもそう思えるとは限らない」
■ハミルトンの闘志の現れだとヴォルフ
ヴォルフは、こうした心理戦も理解できると話している。
「今週末、あの2人が愛し合うことはあり得ない。2人とも、あらゆるトリックを使ってチャンピオンが勝ち取れる状況を作り出さなければならないんだからね」
「ルイスには、“世界中が敵だ”という心理状態が必要なんだよ」