メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフが、メルセデスの育成ドライバーとして今季マノーでF1デビューを飾った22歳のパスカル・ウェーレインに関し、本当はもうあと1年か2年、中堅チームで経験を積ませるほうがいいと考えていることを明かした。
■ハミルトンの理想的なチームメートは?
今季のF1ドライバーズタイトルを獲得したニコ・ロズベルグがあと2年の契約期間を残したまま突然のF1引退を発表。メルセデスAMGでは急きょ来季ルイス・ハミルトンのチームメートとなるドライバーを探さなくてはならないという状況に追い込まれている。
メルセデスAMGとしては、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)かセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)を獲得できれば理想的だろう。
実際、ヴォルフはイギリスのテレビ局に対し、メルセデスAMGとしてはアロンソほどの力量を持つドライバーが欲しいと思っていると語っている。
■ほかのチームの契約を尊重する必要がある
だが、そのヴォルフはドイツの『DPA通信』に対し、ほかのチームの契約を尊重する必要があると次のように語った。
「我々も自分たちのドライバーが新しいチャンスができたからとすぐにそれに飛びつくようなことはして欲しくない。そういう状況ではすでに契約が結ばれているわけだし、我々はそれを尊重することになる」
「我々も、現在の契約状況がどうなっているかということについてはかなりよく分かっているし、実際に過去数日にわたって多くのドライバーたちと話をし、まだ我々が知らなかったことも含め、今の彼らの契約状況がどうなっているのかを理解することもできた」
■ボッタスは現実的な選択肢に?
実際問題として、アロンソやベッテルをこのタイミングで引き抜くことは非常に難しいのは確かだろう。だが、ヴォルフがマネジメントにかかわっているウィリアムズのバルテリ・ボッタスに関しては、現実的な選択肢になるだろうと考えられている。
もちろんボッタスもウィリアムズと2017年の契約を交わしているが、メルセデスパワーユニット供給費用の値下げや、メルセデス所属ドライバーである期待の新星パスカル・ウェーレインを代わりに加入させるといった条件を提示することで、ボッタスの契約を買い取ることは可能だろう。
その件について質問されたヴォルフは、次のように答えた。
「もちろん、お互いに契約を交わしているほかのチーム、ほかのドライバーとの間に友好的な解決策を見いだすことは可能だよ」
「私はそれを除外はしていない」
■ウェーレインの昇格を示唆したヴォルフ
だが、メルセデスAMGにとって現時点でもっとも現実的な選択肢となるであろうと考えられているのがメルセデスの契約下にある育成ドライバープログラム上がりのウェーレインをそのまま昇格させることだろう。
ヴォルフは、ウェーレインの昇格を示唆するように、次のように語った。
「もし私にクリスマスの願いが与えられれば、私は彼(ウェーレイン)があと1年か2年中団チームで過ごせるように願うだろうね」
「だが、私のクリスマスの願いはかなり妥協をせざるを得ないだろうし、恐らくは、ニコ(ロズベルグ)が勇気ある決断をしたように、我々も勇気を持って決断せざるを得ないんじゃないかな」とヴォルフは付け加えた。