フェラーリとの関係が深い2人の人物が、今週末に行われる今季のF1第2戦中国GP(9日決勝)では、フェラーリが苦戦を強いられることになるのではないかとの懸念を抱いている。
昨年は1勝もあげることができなかったフェラーリだが、今季は幸先よくセバスチャン・ベッテルが開幕戦オーストラリアGPで表彰台の中央に立った。
■オーストラリアの勝負はピットストップで決まっていた
現在、フェラーリの実質的なBチームだとも言われているハースF1のシャシー製造に関してはイタリアのダラーラ社が技術協力を行っていることはよく知られている。
ダラーラとハースはフェラーリのファクトリーの一角に設計部門を置き、フェラーリの風洞施設を利用しながらシャシーの設計を行ってきている。
基本的にフェラーリとの間で技術情報を交換することはないと言われているものの、ダラーラが自然とフェラーリ内部の情報に明るくなるのは確かだろう。
そのダラーラ社を率いるジャンパオロ・ダラーラは、開幕戦で勝ったとはいえフェラーリが安心するのはまだ早いと考えている。
「若いイタリア人エンジニアたちが設計したマシンが勝ったのは素晴らしいことだよ」
「だが、あのサーキットではオーバーテイク(追い抜き)が難しいのは事実だ。セブ(ベッテル)は素晴らしかった。しかし、彼はピットストップのおかげで勝てたんだ」
フェラーリ専門のジャーナリストとして知られるレオ・トゥッリーニの取材にそう語ったダラーラは、次のように付け加えている。
「だから、あせらずに行こうじゃないか。今度の中国はメルセデスAMGに有利だろうからね」
■上海はメルセデスAMGに有利なサーキット
さらに、かつてフェラーリのチーフデザイナーを務めていたマウロ・フォルギエリも次のように語った。
「マラネロ(フェラーリ)は傑出した仕事を成し遂げたよ。特にリアサスペンションにね」
「オーストラリアではフェラーリのほうがメルセデスAMGを上回っていたものの、私は中国でもそうなるかどうかは疑わしいと思っている。それを期待してはいるがね」と82歳となるフォルギエリは付け加えた。
■バーレーンでは再びフェラーリが有利に
しかし、かつてレッドブルのチームメートとして5年にわたってベッテルとともに戦った経験を持つ元F1ドライバーのマーク・ウェバーは、仮に今週末の中国GPでメルセデスAMGが勝ったとしても、来週末に行われるバーレーンGP(16日決勝)では、またフェラーリが逆襲に転ずる可能性が高いだろうと考えている。
「セバスチャンはタイヤの扱いが上手なんだ」
ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』にそう語ったウェバーは、次のように付け加えた。
「バーレーンではフェラーリがさらによくなる可能性があるよ。温度が高くなるし、リアタイヤにかかる負担も大きくなるからね」