新型コロナウイルス問題により、まだ2020年シーズンをスタートすることができていないF1だが、その埋め合わせという意味で現役F1ドライバーたちによる公式なバーチャルF1グランプリを行うことになるかもしれないと報じられている。
F1ではすでに公式F1 Eスポーツシリーズを2017年から開催している。これに参加しているのは世界のトップゲーマーたちだ。
だが、2020年のF1開幕戦オーストラリアGPの中止が突然決まった先週末には、急遽何人かのF1ドライバーたちが参加して『The Race All-Star esports Battle』と銘打たれたオンラインゲーム大会が催されていた。
本来ならオーストラリアGP決勝が行われていたはずの15日(日)に行われたこの大会はF1公式のものではなく、元F1ドライバーであり、現在はフォーミュラEで活躍するジャン-エリック・ベルニュがF1の協力を得て実現させたものだ。
このバーチャルレースには、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ランド・ノリス(マクラーレン)といった現役F1ドライバーに加え、ストフェル・バンドーン、エステバン・グティエレスなどが参加。2019年版の公式F1ゲームでアルバート・パーク・サーキットでのオーストラリアGPが行われていた。
このバーチャルレースの主催者とも言えるベルニュは母国フランスの『Ouest-France(ウエスト・フランス)』に次のように語った。
「F1ドライバーたちが全員そろったわけじゃないけれど、スターたちがいたのは確かだよ」
「それに何百万人ものフォロワーがいるEスポーツのスターとも言えるゲーマーたちもいた。このうちの何人かには本当のドライバーよりも多いほどのファンがいるんだ」
ベルニュは、オーストラリアGPが中止となってがっかりしていたファンのためにこのイベントをやろうと思ったのだと語り、次のように続けた。
「僕はただファンにレースを見ることができる機会を提供したかっただけなんだ。誰もがシーズン開幕を待っていたし、失望してしまっていた。だから僕たちは2日でこれを用意したんだ」
「僕たちはこう考えたのさ。ドライバーやゲーマーを集めて、本当なら行われるはずだったレースの代わりにここでレースをすればいいんじゃないかってね」
「大成功だったよ。オーバーテイクがあり、戦いがあり、異なる戦略もあったしね。もちろん本物とは違うけれど、F1やモータースポーツの雰囲気を少しばかり感じることができたよ」
「でも、最終的にはものすごくリアルなビデオゲームで本物のドライバーたちの戦いを目にすることができた」
2012年から3年間トロロッソでF1を戦ったベルニュは、次は本来なら第2戦バーレーンGPが開催されるはずだった今週末にもこのビデオゲーム大会を催すつもりだとし、2020年を通じて継続開催する準備も進めているところだとしている。
「配信はもっと進化させるよ。もっと専門的にやるつもりだ」
「例えば、レースのスタート時には非常に多くの人たちがアクセスしたために小さなクラッシュも起きていた。普段よりかなり多くの人たちが集まったんだ。だから、サーバーとコンピューターを強化したよ」
そう語ったベルニュは、次回に向けてさらに多くの現役F1ドライバーやそのほかのカテゴリーで活躍するレーシングドライバーたちにも声をかけているところだとし、次のように続けている。
「今シーズンすべてのレースをやりたいと思って取り組んでいるところだよ」
「もっと多くのF1ドライバーたちも参加してくれるはずだし、それは数日中に、(予定されていた)バーレーンの前に発表する予定だよ」
一方、ドイツの『Bild(ビルト)』は次のように報じている。
「F1はこれに対応し、自分たちのスタードライバーたちをそろえた独自のバーチャルレースを開催することを目指しているようだ」