元F1ドライバーのニック・ハイドフェルドが、レッドブルにとってはアレクサンダー・アルボンへのサポートを続けていくことが「極めて重要」だと語った。
トップチームのひとつであるレッドブル・ホンダで2年目のF1シーズンを迎えているタイ国籍ドライバーのアルボンだが、チームメートのマックス・フェルスタッペンとの差が大きく開いてしまい、本来期待された結果が残せない状況が続いている。
レッドブルは、これまでにセバスチャン・ベッテルやダニエル・リカルド、そしてフェルスタッペンといった優れたドライバーを輩出してきた独自のドライバー育成プログラムを有していることで知られている。
だが、そのプログラムの評判は必ずしもいいとは言えないのが事実だろう。何人かの優れたドライバーの陰で、ばっさりと切り捨てられてきた若手ドライバーも少なくないからだ。
しかし、今のところそのドライバー育成プログラムの責任者であるヘルムート・マルコ(レッドブル/モータースポーツアドバイザー)やクリスチャン・ホーナー(レッドブル/チーム代表)はアルボンを擁護している。
それはアルボンが世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブルの共同オーナーがいるタイから特別な支援を受けているからだと考えている者もいるようだ。
そうした中、ハイドフェルドは今のアルボンには精神的なケアが必要だと母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語った。
「現時点では、彼(アルボン)の自信はひどく傷つけられてしまっている。だから、精神面でのサポートが彼にとっては極めて重要なんだ」
ハイドフェルドは、2019年シーズン前半にはやはりピエール・ガスリー(アルファタウリ)が同じような状況にあったことに言及しながら次のように続けた。
「今はそれがアレクサンダー・アルボンに起きているんだ」
「彼はなかなかクルマに馴染めていない。もちろん、そのクルマはフェルスタッペンの意向を組み入れて彼に合うように開発されたものだからだ」
「それでも、あれほど大きなタイム差となっている理由を説明するのは難しいけれどね」
ハイドフェルドは、もしも今季のレッドブル・ホンダがもっとメルセデスに接近できていたとしたら、レッドブルがアルボンへのサポートを続けていたとは思えないと次のように付け加えている。
「そうであったならアルボンが上位争いに加われないことは決定的に不利な条件となってしまっていただろう。そんな状況ではチームは重要な戦略的チャンスを失うことになるからね」
そう語ったハイドフェルドだが、今年もレッドブル・ホンダが6年連続でチャンピオンチームとなったメルセデスとの戦いに苦戦しているのは、レッドブルやそのドライバーたちのせいではなく、メルセデスが本当に強いことの証しでしかないと考えているようだ。
「彼らは毎年改良を重ねてきたし、技術的に可能なことの限界を押し広げようとしてきている」
ハイドフェルドはそう語ると次のように付け加えた。
「毎シーズン、彼らは自分たち自身に新たな動機付けを行い、彼らが明らかにナンバー1であることを示している。彼らは失敗から学んでいるんだ。そこが彼らの大きな強みだよ」