元F1ドライバーのラルフ・シューマッハが、ランド・ノリス(マクラーレン)が先週末に行われたF1ロシアGPで初優勝のチャンスを逃したのはチームの責任だと主張した。
ロシアGPの舞台となったソチ・オートドロームでF1キャリア初のポールポジションを獲得したノリスは、スタートでカルロス・サインツ(フェラーリ)にトップの座を奪われたものの、その後逆転し、レース終盤までトップを快走していた。
しかし、F1初優勝の可能性が大きく膨らんでいたノリスだが、レースが残り数周となったところで降り出した雨に足下をすくわれてしまった。
そして、チームは無線を通じてノリスに雨用タイヤに履き替えるためにピットインすることを勧めたものの、ノリスはこれを拒んでいた。伝えられるところによれば、ノリスはレース後に優勝を飾ったルイス・ハミルトン(メルセデス)に対して自分がチームからの指示を無視していたことを認めたという。
だが、マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレアス・ザイドルは、「もし我々が彼に“入ってこい”と言っていたら、彼は(ピットに)入ってきていただろう」と語り、チームとして明確にノリスに指示を出していたわけではなかったことを示唆している。
7度F1王座についたミハエル・シューマッハの弟であり、かつてウィリアムズやトヨタなどで活躍したラルフ・シューマッハも、今回の件で責めを負うべきはノリスではなくマクラーレンの方だと母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語った。
「過失はマクラーレンの天気予報担当にあったんだ」
「サイドルはSkyに対し、彼らは雨が小降りのまま続くと想定していたため、それでノリスが取り残されてしまったのだと語っていた。それではドライバーはどうしようもないよ」
「もし、彼がチームに逆らって決断していたら、おそらく彼にとっては違った結果になっていただろう。しかし、彼はチームが持っていた情報を知らなかっただけなんだ」
そう語ったラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「彼のチームが持っていた情報は誤っていたということさ」
整理すれば、レース終盤に雨が落ち始めたときにチームがノリスに伝えていたのは、この雨は小降りのままで続くという情報だったということのようだ。そして、雨が強くなるという情報がうまくノリスに伝えられないままレースが進展してしまい、ノリスは的確なタイミングでピットに戻り、雨用タイヤに交換するチャンスを逃していたというのが今回の一件の真相かもしれない。