オランダ出身の元F1ドライバーであるギド・ヴァン・デル・ガルデは、最終的には母国のヒーローであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が2021年のF1タイトルを手にするはずだと考えている。
今年のF1ドライバーズタイトル争いはまれに見る大接戦となっており、フェルスタッペンと現チャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデス)が全くの同ポイントで今週末の最終戦アブダビGP(12日決勝)を迎えることになる。
だが、実際のところ、直近3レース全てで優勝を飾ったハミルトンの勢いの方が上回っており、追われる立場となったフェルスタッペンの方が不利だと考えている者も少なくないようだ。
しかし、2013年にケータハムでF1を戦った経験を持つ36歳のヴァン・デル・ガルデは『NOS(オランダ放送協会)』に次のように語った。
「僕はマックスを知っているよ。彼は今年ずっとタイトルを争ってきたし、今でも冷静さを保っている」
「彼はそれ(タイトル)を取りにいくだろう」
フェルスタッペンにとって最終戦の舞台となるヤス・マリーナ・サーキットは昨年ポール・トゥ・ウィンを飾った験のいいサーキットかもしれない。だが、そのサーキットには昨年のレース以後修正が加えられており、今年はどちらかと言えばメルセデスに有利なレイアウトに変わっているとも考えられている。
しかし、ヴァン・デル・ガルデは、フェルスタッペンはそんなことは気にもしないだろうと次のように続けた。
「10周も走れば、どうなるかわかるものさ」
「僕たちはそれをすでにザントフォールト(今年初開催されたオランダGP)で目にしている。彼を応援するためにすごく多くの人たちが来ていた中で、彼はポールポジションからスタートしてミスを犯すことなくレースでも勝利を収めたんだ」
とは言え、シーズン半ばの9月に行われたオランダGPと、この1レースでタイトルのゆくえが決することになる最終戦では、レースの重みやプレッシャーの大きさが比べものにならないくらい違うのは確かだ。
かつてトヨタやヴァージンなどで戦ったドイツ出身元F1ドライバーのティモ・グロックは、最終戦でもレッドブルとメルセデスの思惑がぶつかり合ってレースが混乱する可能性も否定はできないと示唆するように、次のように語っている。
「サウジアラビアではチームがお互いに相手をものすごく気にしていたのがよくわかった。すごく細かいところにまで目を向け、細部まで探りを入れ、どんな小さなミスでさえ指摘し合っていたよ」
「愚かで馬鹿げたことだけど、そういうレベルになるのはもちろん理解できることだ」
「あそこでの戦いには常軌を逸した部分もあった。マックスはルイスに身を引かせる必要があることがわかっているからものすごく攻撃的になるし、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)もそれがわかっている」
「彼らもまた非常に素晴らしいタイトル戦になっていることがわかっているし、FIAの誤った判定で終わってほしくないと思っていることもわかる」
母国のテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語った39歳のグロックは、サウジアラビアでレース中にチームとFIAのレースディレクターがペナルティに関する交渉を行う一幕があったことに言及しながら、次のように付け加えた。
「もちろん、ほかのドライバーや若者たちのためにもどこかで線引きをしなければならない。しかし、レース中にペナルティの交渉を始めたら、それも正しいやり方ではないと思うよ」