F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のモハメド・ベン・スレイエム会長が、2023年には新たなF1レースディレクターを起用する準備をしていることを明らかにした。
■2022年は2人態勢となっていたF1レースディレクター
2021年のF1最終戦アブダビGPでは、当時のレースディレクターだったマイケル・マシがレース終盤にセーフティカーが導入された際に通常の手順とは異なる運営を行ったことで、最終ラップでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がルイス・ハミルトン(メルセデス)を逆転して初のF1王座についた。
このときのマシのレース采配は大きな物議を醸し、結局マシはその後F1レースディレクターの職を解任されてしまっている。
2021年末にFIA会長に就任したベン・スレイエムは、今後こうした混乱を避けるために2022年にはニールス・ヴィティッヒとエドゥアルド・フレイタスの2人を新たなレースディレクターに任命し、その2人が交互にレース運営に携わるという形を作っていた。
■2022年の鈴鹿でもレース運営に批判
だが、2022年のF1においてもレースディレクターの運営に対して批判の声が上がることが多かった。そのひとつは、10月に鈴鹿で行われた日本GPでフェラーリのカルロス・サインツがクラッシュした際、強い雨により非常に視界が悪い中、まだ全車がコース上で走行を続けているときにクレーン車を出動させてしまったことだ。
鈴鹿では2014年にもジュール・ビアンキが同じような状況においてクレーン車に激突し、その後命を落としたという経緯もあり、この運営には大きな批判が巻き起こった。
結局、フレイタスはこれを受けてレースディレクターを降板し、その後の4レースは全てヴィティッヒがレースディレクターを務めることになっていた。
■新たなレースディレクター起用を約束するFIA会長
そして、ベン・スレイエム会長はこのほど、スペインの『Marca(マルカ)』とのインタビューの中で、今年はまたレースディレクターを変更することになると認めた。
「そのプロセスが進行中だ。コミッショナーとレースディレクターのトレーニングに取り組んでいるチームがある。(レースディレクターは)1人だけではだめなんだ。私は第二の選択肢を持たなければならないと思っている」
61歳となるアラブ首長国連邦出身のベン・スレイエム会長はそう語ると、次のように付け加えた。
「私は常に、世界にはより優れたマーシャルやレースディレクターがいると信じている。我々のチームは彼らを訓練しており、彼らを起用することを約束するよ」