先週末に2023年のF1第3戦オーストラリアGPを終えたF1だが、次の第4戦アゼルバイジャンGP(30日決勝)までは丸々3週間の間隔があくことになる。それは、本来16日に決勝が予定されていたF1中国GPがキャンセルされたためだ。
だが、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、このタイミングで長い休みに入ることを残念に思っているようだ。
■力強いF1復帰を果たしたヒュルケンベルグ
F1は勢いのある若いドライバーがシートを獲得する傾向にあり、ドイツ人ドライバーのヒュルケンベルグも2019年シーズンを最後にルノーのシートを失っていたが、その後リザーブドライバーを務めながらF1界に残り、フルタイムF1ドライバーとして復帰するチャンスを狙っていた。
そしてついに今年、35歳のヒュルケンベルグは、ミック・シューマッハの後任としてハースのシートを確保し、4年ぶりにフルタイムドライバーとしてF1復帰を果たしている。
そして、そのヒュルケンベルグはここまでのところ、昨年シューマッハを大きくリードしていたチームメートのケビン・マグヌッセンを上回るパフォーマンスを見せている。
ここまでに行われた3つのグランプリの予選では全てヒュルケンベルグがマグヌッセンを上回っており、しかも開幕戦バーレーンGPと先週末のオーストラリアGPではQ3に進出してみせている。
開幕2戦の決勝では惜しくも入賞ラインには届かなかったヒュルケンベルグだが、オーストラリアでは7位入賞を果たして6ポイントを獲得し、ランキングも9番手に浮上。こちらも、現在1ポイントでランキング17番手のマグヌッセンを上回っている。
ヒュルケンベルグとは対照的に、デンマーク出身ドライバーである30歳のマグヌッセンは、メルボルンでは終盤にウォールに右リアタイヤをぶつけるというミスを犯して大波乱を招くことになった赤旗中断を発生させてしまうなど、今季はいまひとつリズムに乗ることができていない。
マグヌッセン自身も、先週末のオーストラリアGPは自分のベストレースではなかったと認めている。
■「全てのレベルにおいていい状況にある」とヒュルケンベルグ
こうした中、今季の第3戦で初ポイントを獲得したヒュルケンベルグは「いい気分だよ」と語り、次のように付け加えている。
「ドイツで言うところの、自分との関係が良好な状態だよ。僕は楽しめているよ」
ヒュルケンベルグは、3年間にわたってF1で走らなかったことにより、「家族のことも含めて、自分の考え方が変わったし、全てのレベルにおいて僕はいい状況にある」と付け加えている。
■「望んでいたものを手に入れた」とハースF1代表
ヒュルケンベルグの友人であるマティアス・ラウダ(故ニキ・ラウダの息子)によれば、ヒュルケンベルグはハースでの復帰に備えて、冬の間にほぼ7kgも減量していたという。
もちろん、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーも、シューマッハに替えて2023年にヒュルケンベルグを起用するという決断をしたのは正しかったと考えているようだ。
7日(金)に58歳の誕生日を迎えるシュタイナーは次のように語った。
「まさに我々が望んでいたものを手に入れることができたよ」
■ほかのチームもヒュルケンベルグに注目するだろうとティモ・グロック
ヒュルケンベルグと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるティモ・グロックも、ヒュルケンベルグが力強いF1を果たしたことを歓迎しているようだ。
「ニコは最初の3レースで非常に明確な意思表示をしてみせた」
「彼は、ほかのチームが再び彼に注目するようなポジションに自分を置いたんだ」
「彼は現時点では明らかにチームメートを抑え込んでいるよ。ケビン・マグヌッセンは、1つか2つの疑問を自分自身にぶつけることになるだろう。それは確かだよ」
マグヌッセンは、その疑問の答えを見いだすことに次戦アゼルバイジャンGPが開催されるまでの3週間を使うことになりそうだ。
■レース間隔があくのは「理想的ではない」とヒュルケンベルグ
一方、ヒュルケンベルグは、レースの間隔が大きくあくよりも、上海で中国GPが開催されていたほうがよかったと考えている。
「理想的ではないよ」
3週間の空白が生じることについてそう語ったヒュルケンベルグは、母国ドイツの『Bild(ビルト)』に次のように続けている。
「今の僕たちにはリズムがあり、勢いがある。そして、それが中断されてしまうんだ。早めの夏休みだよ」
「僕は、それがないほうがいいんだ。でも、僕にはどうすることもできないよ」。