7度F1王者となったミハエル・シューマッハの弟であるラルフ・シューマッハが、アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、本当は2023年シーズンに向けて自分の甥っ子であるミック・シューマッハとの契約を望んでいたことを明らかにした。
昨シーズン限りで2年間を過ごしたハースのシートを失った現在24歳のミック・シューマッハは、今年はメルセデスとリザーブドライバー契約を結んでいる。
一方、レッドブル・レーシングとそのセカンドチームであるアルファタウリのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコは、アルピーヌへ移籍したピエール・ガスリーの後任として、28歳のオランダ人ドライバーであるニック・デ・フリースを2023年に起用している。
しかし、そのデ・フリースはここまで期待に添うパフォーマンスを見せることができておらず、マルコからは“あと3レースだけ”様子を見ることにすると通告されたとも伝えられている。
■デ・フリースに時間が必要なことはわかっていたはず
しかし、自身もかつてウィリアムズやトヨタで活躍した元F1ドライバーであり、F1通算6勝の記録を持つラルフ・シューマッハによれば、28歳のデ・フリースがF1でスピードに乗るには時間が必要であることが明らかだったという。
「彼はよくやっていたし、すでに(ほかのカテゴリーで)多くの勝利を収めていた。しかし、そのためには多くの時間を必要としたんだ」
『formel1.de』にそう語った47歳のラルフ・シューマッハは、次のように付け加えた。
「とりわけ、テストがほとんどないカテゴリー(F1)では、ドライバーにはもう少し長い時間が必要であることはわかっており、マルコがあの子をドライバーに指名したのは驚きだったと言わざるを得ないよ」
■フランツ・トストとは長い付き合いのラルフ・シューマッハ
ちなみに、ラルフ・シューマッハは、今シーズン限りでアルファタウリのチーム代表を退くことが決まっている67歳のトストとは以前からかなり親しい関係にある。
オーストリア出身のトストは、90年代には当時ミハエル・シューマッハのマネージャーを務めていたウィリー・ウェバーの下で働いており、ラルフがF1デビューする前にフォーミュラ・ニッポンに参戦することが決まった際には、ラルフに同行してサポートするようウェバーから頼まれていた。
さらに、その後、ラルフ・シューマッハは1999年にジョーダンからウィリアムズに移籍したが、トストは2000年からウィリアムズにワークスエンジンを供給することになったBMWのトラックオペレーションマネージャーを務めており、ここでもラルフ・シューマッハと共に仕事をしていた。
そして、ラルフ・シューマッハはこのほど、トストが本当は2023年シーズンに向けてミック・シューマッハと契約することを望んでいたことを明かしている。
■トストは本当はミックとの契約を望んでいた
「フランツはデ・フリースとは全く別のドライバーを考えていたよ」
「彼はドライバーが成長するのに2年か3年かかることを知っているし、それに見合う獲得可能なドライバーがミックだったんだ。ところが、ヘルムート・マルコが、個人的な理由か何かで、ミックと契約したがらなかったんだ」
「マルコは、シューマッハの名前か、あるいは個人的にミックとの間に問題があるようだね」
「そうでなければ、どうして話し合うことさえしなかったのか、私には全く理解できないよ。なぜなら、レッドブルはドイツにおいてはあまり強い市場を持っていないことを念頭に置いておく必要があるからね」
そう語ったラルフ・シューマッハは、次のように付け加えた。
「自分のF1チームにシューマッハがいれば、いい影響がたくさんあるだろうにね」。