「Honda Racing THANKS DAY 2023」の前日、モビリティリゾートもてぎの北コースで、ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿(HRS)の特別講習会が行われた。
■ペレス、フライト遅延で欠席
本来、HRSのアンバサダーであるセルジオ・ペレス(レッドブル)が講師を務める予定だったが、「フライトの大幅遅延」により直前になって参加できなくなった。
昨年もフライトの遅延により到着が数時間遅れてしまったが、今年は残念ながら欠席となってしまった。
■角田裕毅と岩佐歩夢、急遽講師に!
そんな緊急事態に、特別講師として登場したのは、先週長いF1シーズンを終えたばかりの角田裕毅(アルファタウリ)と、火曜日にF1テストをしたばかりの岩佐歩夢というHRS卒業生の先輩だった。
HRSプリンシパルの佐藤琢磨を含め、同じHRS出身でF1経験者の3名の大先輩が直接指導してくれるということで、生徒5人は存分にアピールしたいところだ。
■10周の真剣勝負
模擬レースは10周。角田裕毅はアルファタウリF1のレーシングスーツ、岩佐歩夢はF2を戦ってきたレッドブルのレーシングスーツに身を包み、カートに乗り込んだ。
先輩2名は最後尾からのスタートだ。
カートはインディカーのようにゆっくり走りながら一斉にスタートするローリングスタート方式だ。
角田裕毅は、得意のブレーキングと、F1で磨いてきた冷えたタイヤでも限界でコントロールするテクニックを発揮し、スタート直後のターン1でアウト側から一気に数台を抜くと、トップ集団の一角に入った。
このあたりのテクニックはさすが現役F1ドライバーだ。生徒達にとって、F1最終戦アブダビGPで7冠の王者ルイス・ハミルトン(メルセデス)とのバトルに勝ったばかりの角田裕毅のテクニックを一番近くで見られるチャンスだ。
その後、角田裕毅は1位の生徒から少し離れた位置で2位を走行。F1ならDRSを使える距離だが、カートはもちろんそんな装置はないため、ジワジワと距離を詰める。岩佐歩夢は中団の中でバトルを展開した。
そして最終ラップ、1位の生徒を真後ろからじっくり観察していた角田裕毅は、狙いを定めていたように得意のブレーキングで一気にインに飛び込んだ!しかし、ややオーバースピードだったのかハーフスピン!そのままグラベルに出てしまった。
角田裕毅はグラベルで立ち尽くしていたが、チェッカーを受けた岩佐がカートを止めて角田裕毅のカート救出を手伝うシーンも見られた。
■カートの感覚を忘れていた
レース後、角田裕毅は「カートでのブレーキの感覚を忘れてしまい、強く踏みすぎてリヤが抜けてしまいました」と説明。しかし「チャレンジした結果」として久々のカートレースを楽しんでいたようだ。
模擬レース後に行われた3名のF1経験者への質疑応答では、佐藤琢磨校長、角田裕毅、岩佐歩夢がレース前のルーティーン、心構え、食事など自分の性格に合わせた対策をしていることを伝え、生徒達は世界で戦う大先輩からの貴重なアドバイスを真剣に聞いていた。