フェラーリ・ドライバー間の「火花」はまもなく「火種」になる可能性があると、ある有名なイタリア人F1関係者が語っている。
■フェラーリの2人に火花
フェラーリを今シーズンいっぱいで解雇されるサインツとチームメイトのシャルル・ルクレールとの間には本格的な緊張の兆しが上海で現れた。
ルクレールはスプリントレースでのチームメイトの肘を突き出すようなアグレッシブさに苦言を呈し、続く中国GP決勝レースのスタートでもアクシデントが起きて、2人の関係はさらに限界に達した。
決勝レース、6番グリッドのルクレールと7番グリッドのサインツは、スタート後のターン1〜2で横並びになりながら2台で争っていたが、アウト側のサインツが押し出されそうになり失速、意識しすぎたルクレールも失速し、8番グリッドからスタートしたメルセデスのジョージ・ラッセルはイン側から2台抜き、9番グリッドからスタートしたハースのニコ・ヒュルケンベルグはサインツを抜いて、その後、ルクレールも抜いている。
フェラーリF1のフレデリック・バスール代表は、「あのように2つのポジションを失うことは助けにならない」と認めた。
サインツはここまで好調をキープしてきたが、予選Q2の最終ターンでクラッシュしてしまっていた。フレデリック・バスールは上海での最大の問題のひとつは「グリッドポジション」だったとバスールは認めている。
「全体的にミスが多い時は、完全な週末を過ごすのは難しい」と、バスールはそつなく付け加えた。
■フェラーリにドライバー間のルール導入のススメ
ルクレールとサインツの間で起きたホイール・トゥ・ホイールのばくちに関して、2016年のワールドチャンピオンであるニコ・ロズベルグは、フェラーリにメルセデスのようなシステムを導入してドライバーの行動を規制すべきだと提案した。
「他のチーム、特にフェラーリにはそのようなルールはないが、今は彼らもそうしなければならないね」とドイツ人ドライバーは『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に語った。
フェラーリのインサイダーとして知られ、ジャーナリストでもあるレオ・トゥリーニも、ルクレールとサインツの関係を迅速にコントロールするためにフェラーリにはやるべきことがあることに同意している。
「我々は非常に長いシーズンの序盤にさしかかったばかりで、上海の火花は火災の予兆だ」と彼は自身のコラム『Quotidiano(クオティディアーノ)』に書いている。
■バスール代表にできることはない?
しかし、フェラーリの元チームボスであるチェーザレ・フィオリオは、バスールがこの状況にどう対処できるのか疑問に思っている。
「私は彼らの契約を知らないが、サインツがコントロール不能になることはシーズン序盤に考慮されていたはずだ。バスールにできることはあまりないがね」と彼は『Corriere dello Sport(コリエレ・デロ・スポルト)』に語った。
■次戦マイアミGPまでに決まることはない
事態を落ち着かせる可能性としては、29歳のサインツが2025年に向けて新しい契約を結び、自分が今年フェラーリ最速のドライバーであることを証明しなくてもいい状況になることだ。
彼のマネージャーであり、いとこでもあるカルロス・オノロ・サインツは、今のところ何もニュースはないと言う。
「当面は、自分たちの選択を検討し続けることになる。中国とマイアミの間は(何も起こらないから)、みんな安心して眠れるから心配しないで」。