F1はメーカーに妥協か V8回帰望むFIAの会議へ、フェルスタッペンが助言「安全性」が切り札に

2026年04月06日(月)12:01 pm

記事要約


・2026年のレギュレーション変更についての話し合いが4月9日に開催予定であるものの、大規模変更は難しい

・レギュレーション変更案としては、エンジンの出力を高めるか、電動出力を引き下げるかの2つの選択肢がある

・現在のF1は自動車メーカーの意向が強く反映されるため、シンプルなV8エンジンへの回帰は難しい


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■2026年レギュレーションを巡る難題

F1は、物議を呼んでいる2026年の新技術レギュレーションを巡り、「どのようにレギュレーションを変更するのか」という難題に直面している。

解決策は問題そのものと同じくらい複雑で、ドライバーやチーム、そしてファンからの批判も高まっている。

4月9日には各チームのテクニカル・ディレクターとFIA(国際自動車連盟)による重要会議が予定されているが、大幅な変更が行われる可能性は低いとみられている。

フォーミュラEのCEO、ジェフ・ドッズは、問題の核心はコンセプトそのものにあると指摘する。

「電動出力を増やすことは可能だが、純粋な物理の話として、パワーを増やせば増やすほどマシンは遅くなる」と、スペイン自動車専門サイト『Soy Motor』に語った。

■残された2つの選択肢

現在、F1が検討できる技術的な選択肢は主に2つあるが、いずれも大きな課題を抱えている。

ドイツ誌『Auto Motor und Sport』によれば、1つ目の案は燃料流量を増やして内燃エンジンの出力を引き上げる方法だ。

これにより従来に近いパワーバランスを取り戻し、過度なエネルギー節約の必要性を減らすことができる可能性がある。しかし、この変更にはエンジンや冷却システム、燃料タンクなど広範なエンジン修正が必要で、開発期間も長期化する。

専門家は、今シーズン中の導入は不可能だと見ている。

もう1つの案は、電動出力を引き下げる方法である。

例えば現在の350kWから250kWへ削減すれば、エネルギーマネジメントが容易になり、問題視される「クリッピング(電力制限)」の時間も短縮される。

しかし、この場合はマシン全体の速度が低下し、ラップタイムはF2レベルまで遅くなる可能性があるため、マーケティング面で望ましい結果とは言えない。

■安全性への懸念と、巧妙な抜け穴

根本的な解決が困難な中、F1では議論の焦点を「影響をいかに緩和するか」に移しつつある。

レーシングブルズF1のチームCEO、ピーター・バイエルは、
「例えば、後続ドライバーが前方で何が起きているかをより理解しやすくする、ライトシグナルの開発を進めています」と語り、急激な速度変化への警告システム改善に取り組んでいることを明かした。

安全面の問題も重要性を増している。特に、極端な速度差が原因とされたハースのオリバー・ベアマンのクラッシュ以降、その懸念は一層強まった。

元F1ドライバーのパトリック・フリーザッハーは、オーストリア放送局『Servus TV』で
「内燃エンジンしか使えず、電動モーターの470馬力を突然失う状況では、ほぼ停止しているのと同じです」と警鐘を鳴らした。

レッドブルのマックス・フェルスタッペンも、「安全性」が変更の切り札になる可能性を示唆している。

「すべてを『安全性』の問題として扱えば、簡単に解決できます。安全性という言葉はいろいろな理由付けに使えます。だからもっとこの言葉を頻繁に使うべきかもしれませんね」と述べた。

一方で、トップチームは複雑なレギュレーションの抜け穴を既に突き始めている。

『Auto Motor und Sport』によれば、メルセデスとレッドブルは予選で電力出力をフルで使った直後、急激に遮断するというアグレッシブなエネルギー展開のトリックを試したという。その結果、MGU-Kが60秒間ロックされ、突然のパワーロスと予測不能な挙動を引き起こす可能性があるとされている。

※MGU-Kが60秒間ロック:回生ブレーキシステム(MGU-K)が1分間まったく機能せず、エネルギーを回収・補助できない状態になること

技術的には合法であっても「本来の意図」に反しており、FIAは安全面の懸念から現在も注視している。フェラーリも内部で問題提起を行っており、このトリックをレギュレーションの“境界”を試す一例として捉えている。

■自動車メーカーの意向と、F1が払う「妥協」の代償

フォーミュラEのCEO、ジェフ・ドッズは、F1が直面するジレンマの背景には、自動車メーカーの意向があると指摘する。

「レギュレーションは、メーカーの方向性に合わせるために作られています。メーカーの参入を促すためには、彼らが進める電動化に合わせなければなりませんが、一方で、それは(レースにおいて)妥協を伴うものなのです」と語った。

さらに、FIA内部ではよりシンプルなエンジンを支持する声もあったと明かした。

「実際、V8エンジンへの回帰を最も強く望んでいたのはFIAスタッフだったと思いますが、メーカーからの支持は得られませんでした」

激しい批判が寄せられる中でも、ドッズは拙速な判断を避けるべきだと訴える。

「モータースポーツを世界規模で運営することの難しさや、ファンを満足させることがどれほど難しいか分かっています。ですが、判断するにはまだ早すぎます。モータースポーツの運営者としては、すべてのファンの声にしっかり耳を傾ける必要があります」

「開幕前には実際のレースを見ていないにも拘わらず、一部で否定的な意見が出ていました。だからこそ、少し時間を与えて、状況を見守るべきです」と、トッズは強調した。

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