治安への懸念から2011年の開催が見送られながらも2012年のF1カレンダー入りを果たしたバーレーンGPについて、1996年のF1王者デーモン・ヒルがまたしても意見を翻している。
2011年の開催が直前で中止になったバーレーンGPのカレンダー復帰には賛否両論あり、ヒルは当初、「F1は抑止ではなく発展の道を進むべきだ」と語り、国内情勢が不安定なバーレーンでのグランプリ開催に否定的だった。
しかし、F1の統括団体FIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長と共にバーレーンを訪れたヒルは、現地の様子が2011年とは大きく異なると主張し、一転して開催に前向きな姿勢を示していた。
「グランプリ開催により、バーレーンでは大きな経済効果が見込める。開催キャンセルはバーレーンへ経済制裁を与えるようなものだ」と当時のヒルは語っている。
そして今回、バーレーン市街地の暴動の様子が伝えられ、それに対する国際社会の反応から、ヒルは再びバーレーンGP開催反対派に戻ったようだ。
イギリス紙『The Guardian(ガーディアン)』によると、「情勢は悪い段階にあり、レース開催のために戒厳令を敷かせるのはF1にとっても良くない」とヒルは話している。
「現状を見ればわかる。レース開催によって状況が悪化することはあっても、解決に向かうことはないだろう」
22日(日)に決勝が予定されているバーレーンGPには、ヒル自身もテレビの解説者として行く予定だが、いざとなれば『Sky』局との高額契約を破棄する覚悟があるようだ。
「契約よりも大事なものがある」とヒルは語る。
バーレーンGP開催の是非が問われる中で、F1の最高権威バーニー・エクレストンとチーム代表たち、バーレーンGPの主催者が一堂に会してロンドンで開かれた記者会見の場で、関係者らはレース開催に向けて進んでいると宣言した。これに対してもヒルは懸念をあらわにしている。
ヒルは、「バーレーンでの暴動を、良くない報道の影響と”若者の”問題として扱おうとしたため、バーレーンGPは厄介なことになった」とも話す。
「FIAがその言葉の意味するとこを十分理解していていることを願う。バーレーンで起きていることは、伝えられているものとは違う。チンピラが火炎瓶を投げているというようなものではない、それは、事態をひどく簡略化したものだ」