今週のスペインのバルセロナにあるカタルーニャ・サーキットで行われているF1開幕前合同テストで持ち上がった問題は、摩耗の激しいピレリタイヤだけではなかった。
F1テストの期間中、各チームのエンジニアがガレージで慌ただしく作業をしているのは、最近FIA(国際自動車連盟)が供給契約を更新した標準パーツが原因だ。このパーツは全てのチームで使われている基本部品で、マクラーレンの子会社MESが提供している。
マクラーレンのライバルに当たるレッドブルは、多くのチームの中でも最も声高く批判をしており、問題の原因はマクラーレンが提供した新しいソフトウェアにあると指摘している。
「でもこの問題はわれわれだけに起こっているわけじゃないんだ」とレッドブルのチーフ・レースエンジニアを務めるアンディ・ダメラムは語っている。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によると、問題があまりに深刻であるため、多くのチームがデータを得られないままマシンを走らせている状態で、「初期のモータースポーツに立ち戻ったようだ」と伝えている。
この問題の背景には、マクラーレンがF1マシンの頭脳とも言える電子制御ユニットを、2014年のV6ターボエンジン化に向けての準備の一環としてアップデートした経緯がある。
しかし、最新のソフトウェアは今週のバルセロナテストで早くも制御不能に陥った。
ウィリアムズのチームマネジャーのディッキー・スタンフォードは、「マシンと交信できなくなったんだ」と当時の状況を説明している。
あまりにも多くのチームが影響を受け、またデータ収集がF1テストにとって非常に重要な要素であるため、MESはまず2012年版のソフトウェアに戻すことにした。そして、現時点ではエラーを除去した最新仕様のソフトウェアの配布を始めている。
フェラーリのエンジン部門の責任者、ルカ・マルモリーニは「新しいアップグレードは毎日でてくるけど、(開幕戦オーストラリアの)メルボルンまでには必ず全てが正常に動作しているはずだよ」と語った。