メルセデスAMGのエンジニアリングディレクターであり、F1カーの設計に関する責任者でもあるアルド・コスタが、自分が設計した今季型車W05が2014年シーズンに最後までリードを保てるかどうかは分からないと語った。
今シーズンの開幕戦となったF1オーストラリアGPでは、W05を駆ったルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得し、決勝ではニコ・ロズベルグが圧倒的な強さを見せて優勝を飾った。そしてその様子を見ていた多くの者が、ロズベルグは開幕戦が行われたアルバート・パークでは、まだW05のパフォーマンスを完全には引き出さず、その実力を隠したままにしていたのではないかと考えている。
だが、かつてフェラーリで活躍し、2012年からメルセデスAMGのF1カーの設計にあたってきているコスタは、メルセデスAMGがシーズンを通じて圧倒的な力を見せることができるとは考えていないようだ。
コスタは、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』誌に次のように語った。
「いや、我々が圧倒的に支配できるとは思っていないよ」
「我々は、レッドブルがバーレーンでのテストから開幕戦までの間に果たした進歩を目にした。彼らは冬のテストのよきよりも格段に競争力を付けていたよ」
「このことは、F1では進歩や問題の解決がどれほど速く行われるかということを示すものだ」
「そして、2、3レース後にはほかの多くのチームもいいレベルに到達してくることだってありえる」
52歳のコスタも、新しい時代を迎えたF1では「パワーユニット」のパフォーマンスが特に重要となることは認めている。だがコスタは、メルセデスのパワーユニットが、フェラーリやルノーのものと比べて格段に優れていると言われていることについても疑問を感じているようだ。
メルセデスのパワーユニットはほかのメーカーのものよりも50馬力ものアドバンテージをもっているといううわさは当たっているかとの質問を受けたコスタは、次のように答えた。
「いや、そんなことはないと思う」
「説明させてもらうと、チームはどこもGPSデータを持っている。だから、クルマが最大出力で走行しているときは誰にでもそのことが分かると思うし、ルノーのエンジンは優れたパフォーマンスを発揮しているよ」
「だから、彼らが現時点で調子が悪いのは、多分そのレベルのパフォーマンスをレースを通じて保つことができないためなんだ。気温や、あるいは耐久性不足などによってね」
「だが、そうした問題は徐々に解決されてゆくだろうと思っているよ」とコスタは付け加えた。