記事要約
・LVMHがF1の大型スポンサー初年度に株価8%下落、時価総額でエルメスに一時逆転を許す
・エルメスは富裕層向け路線で堅調、LVMHは需要減退や業績悪化で明暗が分かれる
・F1人気の高まりと共に世界的大企業が続々参入、日本企業はトヨタやホンダも関与強化
今年からF1の大型スポンサーを務めているフランスの高級ブランド、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、15日に株価が8%下落し、一時的に世界最大の高級ブランド企業としての時価総額首位の座をエルメスに明け渡した。LVMHは15年前にエルメスの買収を試みたが、失敗していたライバル企業でもある。
エルメスの時価総額は2436億5000万ユーロ(約40兆円)に達し、LVMHが2434億4000万ユーロまで下落したことで、エルメスが一時的にこれを上回った。この瞬間、エルメスは世界の高級品ブランドの中で最も価値のある企業となった。
LVMHの株価下落は、アメリカと中国での需要減速や貿易摩擦の激化、そして2025年第1四半期の業績が市場の期待を下回ったことが要因とされており、パリ市場では一時8.35%の急落となった。
LVMHは、高級ブランドの中でも比較的低価格帯の比率が増えている一方で、エルメスは富裕層を顧客基盤としていることが明暗を分けたと見られている。
■世界企業がF1に続々と参入
LVMHは、F1と10年間にわたる大型契約を締結しており、F1の75周年を迎える2025年がパートナーシップ初年度となる。
グループ内のブランドでは、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)が大会のタイトルスポンサーを務め、ブランド初となるF1サーキット内の看板やサイネージ広告、表彰式の特製トロフィートランクなどで存在感を示している。
また、MOËT & CHANDON(モエ・エ・シャンドン)はF1公式シャンパンとして4年ぶりに復帰し、表彰台で振る舞われるシャンパンを提供。TAG Heuer(タグ・ホイヤー)は22年ぶりにF1公式タイムキーパーとして復帰している。
NetflixのF1ドキュメンタリーの影響もあり、アメリカを中心に世界そして日本でもF1人気が急上昇。多くの若者がF1に注目している。
■LVMHと時価総額同規模のトヨタもF1に関与
LVMHやエルメスの時価総額40兆円規模は、日本企業ではトヨタ自動車(39.46兆円)と同水準だ。トヨタは2009年限りでF1から撤退していたが、2024年10月11日、レース専門会社TOYOTA GAZOO Racingが記者会見を開き、トヨタ自動車がハースF1チームと「公式テクニカルパートナー」として業務提携を結んだことを発表した。現在、ハースF1のマシンにはTOYOTA GAZOO Racingのロゴが掲出されている。現時点でトヨタはF1チームとしての復帰は否定しているものの、世界中のファンやメディアからは復帰を期待する声も聞こえてくる。
■時価総額7兆円のホンダは2026年からワークス復帰
一方、2026年からワークスチームとしてF1に復帰する本田技研工業(ホンダ)の時価総額は7.3兆円。ホンダは2021年のチャンピオン獲得をもってF1から撤退したが、その後も子会社ホンダ・レーシング(HRC)がパワーユニットサプライヤーとして、レッドブル・レーシングのエンジン専門会社へ有償供給を継続している。
この最強パワーユニットを武器に、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はF1で4年連続チャンピオンに君臨中。2026年からホンダは「アストンマーティン・ホンダ」として正式復帰するが、F1で世界一を証明した技術は今なお健在。過去の復帰時よりも体制が整っており、期待が高まっている。
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