・メルセデスF1とマイクロソフトが複数年の戦略的パートナーシップを締結し、チーム運営の中核にクラウドとAI技術を導入する。
・2026年の新レギュレーションを見据え、AzureやAIを活用してデータ解析、シミュレーション、意思決定の高度化を図る。
・F1特有の膨大なリアルタイムデータを競争力に変え、ファクトリーからサーキットまで組織全体の効率と革新を加速させる。
【動画】メルセデスAMGペトロナスF1チーム 2026年型F1マシン新車発表&シェイクダウン
メルセデスAMG・ペトロナスF1チームとマイクロソフトは、同社のテクノロジーをレースチーム運営の中核に据える複数年のパートナーシップを締結したと発表した。両社はこの新たな協業を通じて、業務効率と技術革新を推進し、世界で8億人以上とされるF1ファンに向けた興奮とパフォーマンスの向上を目指す。
2026年のF1レギュレーション変更は、電動化、効率性、持続可能性を柱とする新時代の到来を意味し、近代F1史においても最大級の技術的進化のひとつと位置付けられている。メルセデスAMG・ペトロナスF1チームは、この大きな変革に備え、マイクロソフトと手を組み、ファクトリーからサーキットまで、クラウドおよびエンタープライズAI技術を事業全体で活用していく。
「私たちのスポーツは、イノベーションを通じて先導する人々によって支えられています。世界有数のテクノロジーリーダーであり、革新的な技術の代名詞でもあるマイクロソフトとパートナーを組めることを大変うれしく思います。この提携は、常にパフォーマンスと進歩の最前線に立ち続けるという私たちの姿勢を体現するものです。チーム運営の中心にマイクロソフトの技術を据えることで、より迅速な洞察、より賢明なコラボレーション、そして次世代F1を見据えた新しい働き方を実現していきます」
F1では、勝敗がコンマ数秒で決まり、あらゆる判断がデータに基づいて下される。極端なデータ量、リアルタイムでの意思決定、世界規模のオペレーション、そして一切のミスが許されない環境は、現代のエンタープライズシステムにとって究極の試練だ。マイクロソフトとメルセデスAMG・ペトロナスF1チームは、「テクノロジーは競争力である」という共通の信念のもと、最高峰の競技レベルにおける新たな標準を築くことを目指す。
「このパートナーシップにより、ミリ秒が結果を左右し、データがすべてを決めるレースの世界に、マイクロソフトのクラウドとエンタープライズAI技術が深く組み込まれます。メルセデスAMG・ペトロナスF1チームとともに、データをリアルタイムのインテリジェンスへと変換し、より迅速な意思決定、より賢明な戦略、そしてサーキット内外での持続的な競争優位を実現していきます」
現代のF1マシンは、精密さとスピードによって定義されている。メルセデスAMG・ペトロナスF1チームのマシン1台には400以上のセンサーが搭載され、1秒あたり110万点を超えるデータが生成される。タイヤの摩耗、空力挙動、エネルギー回生システムの制御、刻々と変化する路面状況など、あらゆる要素をリアルタイムで解析する必要がある。
Microsoft AzureとそのAI機能は、ファクトリーおよびサーキット双方において、チームの既存の高性能コンピューティングおよびデータ解析能力を拡張する。シミュレーション、パフォーマンス分析、レース戦略のモデリング、チーム横断のデータ解析を、スケーラブルなクラウドとAIリソースで支えることで、重要な局面においてエンジニアやストラテジストがリアルタイムの洞察を得られる環境を整える。
マイクロソフト365やGitHubは、すでにブラックリーおよびブリックスワースの拠点、ならびにサーキットのパドックにおいて、エンジニアリングおよびオペレーションの基盤として活用されている。今後はMicrosoft 365の活用をさらに拡大し、俊敏性の向上、イノベーションの加速、業務効率の強化を図る。
GitHubの開発ツールとプラットフォームは、設計、モデリング、シミュレーション分野での開発スピードと一貫性を高める役割を担っており、今後はエンジニアリング、シミュレーション、ソフトウエア開発部門での統合をさらに深化させていく。
チームはAzureを活用し、リアルタイムのセンサーデータとクラウド技術を組み合わせたインテリジェントな仮想センサーの実証実験を実施。オンプレミスの新インフラを待つことなく、迅速なテストを可能にした。
また、Azure Kubernetes Service(AKS)を用いることで、需要に応じた計算資源の柔軟な拡張・縮小を実現し、厳しい財務および規制要件を満たしながら技術的進歩を加速させている。
メルセデスAMG・ペトロナスF1チームのリチャード・サンダース(チーフ・コマーシャル・オフィサー)は、「マイクロソフトをチームのパートナーエコシステムに迎えられることを光栄に思います。すでに中核的な役割を果たしている同社の技術が、この提携を通じて新たなイノベーションの可能性を切り拓いてくれるでしょう。組織全体で新しい働き方が生まれることを期待しています」と述べた。
マイクロソフトとメルセデス・ベンツは、30年以上にわたり自動車産業のさまざまな分野で協業を続けてきた。AIを活用したスマートファクトリー、電気自動車のテレメトリー、車載インテリジェンス、クラウドを活用したエンジニアリングシステムなど、その関係は多岐にわたる。
今回のF1における新たなパートナーシップは、そうした基盤の上に築かれ、ファクトリーからサーキットまで、同じイノベーションの思想とデジタル技術を世界最高峰のモータースポーツへと持ち込むものとなる。
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