父シューマッハがいれば、ミックはF1に残れたのか ベテラン記者が語る才能と悲劇

2026年06月06日(土)20:57 pm

記事要約


・ベノワ、父ミハエルが健在ならミックはF1に留まれた可能性があると言及

・一方で「才能の限界は変えられない」とF1復帰には厳しい見方を示した

・かつて確執のあったベノワが明かす、ミハエルとの未完の約束


スイスのベテランF1ジャーナリスト、ロジャー・ベノワは、ミハエル・シューマッハが2013年末にスキー事故で重傷を負っていなければ、息子のミック・シューマッハはF1に残れていた可能性があるとの見解を示した。

7度のF1世界王者ミハエル・シューマッハを父に持つミックは、2022年限りでハースF1のシートを失った。現在はインディカー・シリーズに参戦しているが、ここまで目立った結果は残せていない。

ドイツのテレビ局『Sport1』から「もしミハエルがパドック裏で積極的に活動を続けていたら、ミックは今もF1に留まっていたか」と問われたベノワは、次のように語った。

「おそらく、それが唯一の可能性だったでしょう。ミハエルであれば、適切な場所で政治的圧力をかけることができたはずです。それはミックのマネジメントや家族にはできなかったことです」

一方でベノワは、仮に偉大な父が事故に遭っていなかったとしても、ミックのキャリアそのものを根本的に変えることは難しかったとの見方も示している。

「確かなことがひとつあります。いくらミハエルであっても、息子の才能の限界を変えることはできなかったということです。シューマッハ陣営は、ある時期から不満を並べ立てるばかりになり、結果的にF1界で自ら不利な立場を招くことになりました」

さらにベノワは、ウィリアムズF1のチーム代表ジェームス・ボウルズの過去の発言にも言及した。

「ボウルズ代表はかつて、非常に的確な表現をしていました。『ミックには才能があるが、それは他の多くのドライバーも同じです』と。ミックに欠けているのは、“並外れたクオリティ”であり、それこそがF1で求められるものです」

長年、スイス紙『Blick』で記者を務めてきたベノワは、ミックのF1復帰の可能性は事実上消滅したとの見方を示している。

「私の中では、その章はもう終わっています。まだ復帰を夢見ている人もいますが、それは忘れたほうがいいでしょう。彼はもはやF1界で重要な役割を果たしていません」

■家族の悲劇とミックの“切実な言葉”

一方でベノワは、スポーツとしての評価とは別に、シューマッハ家を襲った悲劇の影響にも言及した。

「2年前、ミックが語ったある言葉を忘れてはなりません。彼は父親の悲惨なスキー事故の現場に居合わせていました。そのミックが『もう一度だけ父親と話ができるなら、世界中のすべてのお金を差し出してもいい』と語ったのです。この言葉こそ、この物語の悲劇を象徴しています」

■ミハエルとの確執、そして和解

ベノワは、現役時代のミハエル・シューマッハとの関係についても振り返っている。彼はキャリアの大半において、シューマッハに対して辛辣な批判を行ってきたことで知られる。

「『シュンメル・シューミ(イカサマ・シューミ)』という不名誉なニックネームを付けたのは私です。いくつかのレースで行き過ぎた走りを見せ、時には失格処分を受けることもありました」

しかし両者はその後、和解したという。

「日本GPのときでした。彼が突然私の前を通りかかり、しゃがんで私の膝を軽く叩き、『すべてを水に流して、ゼロからやり直そう』と言ってくれたのです」

■体重エピソードと“未完の約束”

さらにベノワは、ミハエルとの軽妙なやり取りについても明かした。

「ある時、彼から『太りすぎだ』と言われたのです。私は『次のレースまで3週間ある。その間に80キロまで落とす』と返しました」

「そして次のグランプリでフェラーリの体重計に乗ったところ、本当に79.8キロでした。ミハエルは笑って、『これでディナーとビールを奢る約束ができたな』と言ってくれました」

「残念ながら、その約束は今も果たされていません。」

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