【F1分析】ハミルトン謝罪「責任は僕にあります」 ピット指示を見送り、表彰台を逃した経緯は? 無線でたどる判断の背景/F1シンガポールGP
F1シンガポールGPで、フェラーリのルイス・ハミルトンがチームのピットイン指示に対してコース上にとどまることを選び、表彰台を逃した。本人は判断の誤りを認め、クールダウンラップで謝罪した。また、過酷なレースを終えた後に体調不良を訴え、FIAの許可を得てレース後のメディア対応を欠席した。
■ハミルトン、レース後に体調不良でしゃがみ込む
41歳で7度のF1世界王者であるハミルトンは、シンガポールGPを走り終え、マシンを降りた後に体調が優れない様子を見せた。
パルクフェルメ※で撮影された映像には、その場にしゃがみ込み、目を押さえる姿が映っていた。
※パルクフェルメ:レース後、検査のためにマシンを保管し、無断での整備や改造を禁止する区域。
その後、フェラーリはハミルトンの状態について声明を発表した。
「レース後、ルイスは体調不良を訴え、FIAの医療チームによる診察を受けました。FIAから、レース後のメディア取材を欠席する許可を得ています」
■ピットインを見送り、表彰台を逃す
フェラーリはハミルトンに追加のピットストップを指示した。しかし、本人はコース上にとどまることを選び、結果的に表彰台を逃した。
フェラーリF1のフレデリック・バスール代表は、当時のやり取りを次のように説明した。
「私たちがピットインを指示したとき、ルイスはコース上にとどまることを望みました。結局、彼はピットインせず、その判断によって表彰台を逃しました。クールダウンラップで謝罪し、自分の判断が間違いだったと認めました」
■バスール代表は落胆 ハミルトンも判断の責任を認める
バスール代表は、表彰台だけでなく、ライバルに対するリードをさらに広げる機会も逃したとして、落胆をにじませた。
「少し残念です。あの判断が違っていれば、ライバルに対するリードをさらに広げることができたはずです。ただ、彼は謝罪しましたし、私たちは気持ちを切り替えて前に進まなければなりません」
一方、ハミルトンも、自らの判断が結果を左右したことを認め、責任を受け止めた。
「今日は僕たちが望んでいた結果にはなりませんでした。その責任は僕にあります。今回のことは痛い教訓になりました。でも、僕が下した判断については、すべて自分の責任として受け止めています」
■早めのタイヤ交換からステイアウトへ、レース中の経緯
ハミルトンは上位勢で唯一、ミディアムタイヤでスタートし、早めの18周目終了時にソフトへ交換した。
ルクレールは24周目終了時にソフトからミディアムへ交換し、ハミルトンのわずか前に復帰。その後、ハミルトンは「前のラップで2秒失っています」と訴え、順位交代を求めた。さらに「もっと速く走りたいです」と伝えたが、チームはペースの管理を指示し、ハミルトンはそれに従った。
39周目、ストロールの停止によってバーチャルセーフティカー(VSC)が導入されると、ルクレールとアントネッリは再びピットイン。一方、ハミルトンは走行を続けた。放送では、ハミルトンのステイアウトはトラックポジションを優先した判断と説明されていた。
VSC後も、ハミルトンとチームの戦略に関する相談は続いた。無線では、チームが現在の戦略はプランBであると伝え、プランCを実行するには6周足りないと説明していた。ただし、両プランが具体的に何を指すかは、このやり取りだけでは明らかではない。
この間、ハミルトンは「何かが起きました」と異変を報告し、チームは確認すると応答した。ただし、実際にタイヤに不具合があったかどうかは確認できていない。
VSC中に2度目のタイヤ交換を行ったルクレールは、ハミルトンの後方に復帰した。その後、新しいタイヤで追いついたルクレールに対し、ハミルトンは抵抗せずに順位を譲った。
しかし、終盤にはハミルトンが「タイヤのグリップを失っています」と訴え、ノリス、アントネッリとの3台による接戦になった。その攻防の中でアントネッリが2台を抜いて前に出ると、ハミルトンはノリス、さらにピアストリにも先行を許し、6位でレースを終えた。
バスール代表は、ハミルトンが走行継続を望み、レース後に判断の誤りを認めたと説明している。一方、レース中には早めのタイヤ交換後のペース管理や、VSC後の戦略に関する相談もあった。表彰台を逃した結果に加え、そこに至る経緯も、今回の判断を振り返るうえで欠かせない。
【関連記事】
●【F1シンガポールGP|決勝ダイジェスト】フェルスタッペン2連勝、ルクレール2位!出火とピット閉鎖、終盤はタイヤで明暗 アントネッリが接戦を制し表彰台
●【F1シンガポールGP|Q3タイム差】フェルスタッペン、最初のアタックで決めたポール!フェラーリ勢が2・3番手
●【F1シンガポールGP|スプリントダイジェスト】1周目も最終周も急展開・・・フェルスタッペンが波乱を制す、フェラーリ勢はタイヤ管理で明暗
●【フェラーリF1】バスール代表、ハミルトンの「上層部」発言に反論 経営陣との関係は良好
●【フェラーリF1】ヴィーニャCEOがセパン訪問 バスール代表の去就を巡る臆測続くも「チームは団結」