レッドブルF1は、セルジオ・ペレスが2026年までチームに残留することを発表した。一方で、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、2028年までの契約を今年末に終了してメルセデスへ移籍するという噂も根強く残っている。
しかしフェルスタッペン陣営はそれを一貫して否定している。
■この噂話はやめられない
「この話をやめられるかい?絶対にないね」とラルフ・シューマッハは『formel1.de』に語った。
「マックスはより良いクルマを探していると思うが、現在のレッドブルはそうではない。ドライビングが難しいクルマであり、これが大きな問題になるかもしれない」
■レッドブルはなぜペレスと2年契約?
レッドブルF1がペレスと2年契約した背景には、「継続性」を優先したと考えられる。
この2年契約には、2025年末に発動する可能性があるパフォーマンス条項が含まれる可能性が高い。つまり、1年確約+1年オプションで、レッドブル側に選ぶ権利があるということが考えられる。
レッドブルF1は優位性を保つための2つの大きな要素を失うことが決まっている。1つはエイドリアン・ニューウェイ、2つ目はホンダだ。
■不安要素1:マシン開発
空力の天才と言われるエイドリアン・ニューウェイは2025年3月までにチームを離脱することを発表し、F1界は大きな衝撃を受けた。すでにニューウェイはF1の開発現場からは退き、最新の情報にはアクセスできないことは知られている。
ライバルチームは当然ながらニューウェイにオファーしており、2025年以降、ニューウェイがどのチームに加入するかでF1の勢力図が大きく変わる可能性もある。
すでにライバル勢がマシン開発に成功していることで、レッドブルF1はその競争力の優位性を失いつつあるのは明らかだ。
ニューウェイを失ったレッドブルF1のクリスチャン・ホーナー代表は、ペレスを2年間キープすることで、ペレスの強力なスポンサーからの収入も確保し、安定した高い資金力で開発を進めることでチームの優位性を保とうと考えるのは自然なことだ。
■不安要素2:パワーユニット
さらにレッドブルは2026年から最強のホンダを失う。フォードとタッグを組んだ独自のパワーユニット(PU)を開発中だが、その実力も不安視されている。
レッドブルF1は、ニューウェイを失ったあとのマシン開発力に加えて、パワーユニットの両方を開発していくことから、これまで以上により多くの優秀な人材と資金力が必要になる。そのためにもペレスが持ち込むスポンサーマネーは必要だったと考えられる。
■不安要素3:フェルスタッペン
レッドブルが競争力を保つためには、マシンとPUに加えて重要な要素がもう一つある。それがフェルスタッペンだ。
フェルスタッペンの実力はF1の歴史上でもトップクラスで、多くの元F1ドライバーたちが絶賛している。高給取りのフェルスタッペンをキープするにはペレスのスポンサーが必要であり、さらにチャンピオンチームが競争力を維持するためにも重要な要素だ。
そのフェルスタッペンをキープし続けるために必要不可欠なのがマシンとPUの優位性だ。2028年を待たずに移籍も可能なフェルスタッペンを満足させるためには、マシンとPUを開発できる優秀なチーム体制を用意しなければならない。
空力の天才ニューウェイと最強PUのホンダを失うレッドブルF1としては、3つ目の重要な要素のフェルスタッペンは何としてもキープしたい。そのためにも、このペレスの2年契約は「継続性」と「団結力」をキープする上で必要であり、好調なカルロス・サインツ(フェラーリ)や角田裕毅(RB)をも上回る魅力があったと言える。