・ホーナーがレッドブルF1代表兼CEOを電撃解任、背景に株主の方針転換
・同日にメルセデスがフェルスタッペン獲得オファーを承認との報道
・新体制はメキース&パーメイン、フォードとの協業は継続の見通し
F1界に衝撃が走った。昨年の性的スキャンダル、権力闘争、そして幹部の相次ぐ離脱を乗り越えたかに見えたクリスチャン・ホーナーが、ついにレッドブルから解任された。
オーストリア紙『オーストライヒ』によると、これまでホーナーを強く支持していた筆頭株主のチャルーム・ユーウィッタヤー氏がついに折れ、オーストリア側の意見に同調したことで、ホーナーの解任が決まったという。
さらに注目すべきは、この発表と同じ日に、メルセデスの取締役会が2026年以降のマックス・フェルスタッペン獲得に向けた正式なオファーを承認したことだ。『オーストライヒ』紙は「偶然とは思えない」と指摘している。
F1イギリスGPの決勝後、ホーナーとマックスの父ヨス・フェルスタッペンが口論していた姿が目撃され、現場では緊張が高まっていた。元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは「ヨスが現状に満足していないのは明らかだった」と語り、自身がホーナーを批判したことで「ブラックリストに載った」とも明かしている。
「もう良い人材が来ないし、今いる人も離れていった。ホーナーの性格が原因で、皆が敬遠していたのだろう」とシューマッハは語った。
また、ホーナーがレッドブルの顧問を務めるヘルムート・マルコ博士の排除を再び画策していた、あるいはフェルスタッペン陣営によるチーム株式取得の動きを阻止しようとしていたとの噂もある。
元F1ドライバーのビタリー・ペトロフは「彼ら(フェルスタッペン陣営)はメルセデスのトト・ウルフのように、チームの株を持ちたがっていたのだろう」とテレグラムに投稿した。
長年ホーナーの友人として知られるバーニー・エクレストンは、今回の件に本人も「ショックを受けている」と語り、オランダのレース関係者トム・コロネルは「パニックを引き起こすような何かが起きたはずだ。内部で火事があったということだ」と推測する。
フィンランドの元F1ドライバー、ミカ・サロも「我々が知らされていない舞台裏があるはずだ」と述べ、事態の複雑さを示唆した。
ホーナーの側近である広報責任者のポール・スミスとマーケティング責任者のオリバー・ヒューズもチームを去ることになっており、ホーナーの次なる行き先としてフェラーリやアルピーヌの名前が早くも浮上している。
アルピーヌの首脳でありホーナーと親しいフラビオ・ブリアトーレは「20年間トップにいたことが全てを物語っている。コース上ではライバルだが、コース外では友人でもある。レッドブル・レーシングでクリスチャンが達成した功績を称えます。次の冒険に幸運を」とエールを送った。
フェルスタッペン自身は、最近のホーナーに関する報道に対して公の場では沈黙を守っていた。しかし数日前には、レッドブルのCEOオリバー・ミンツラフと会談を行っていたとされる。
マックスとヨスのマネージャーであるレイモンド・フェルミューレンは、「この決定の背景を公にするかどうかはレッドブル次第です。レッドブルとしては、これが最善の道だと考えているのでしょう。人事や戦略の決定は親会社が行うものです」と慎重に言葉を選びながらコメントした。
今後については、「我々にとっては何も変わりません。スポーツ面に集中し、パフォーマンスを追求していきます。再び頂点に返り咲くために」と語った。
伊『スカイ・イタリア』の記者は、「フェルスタッペンは今回の件で変化を促すためにメルセデスのオファーを利用した」と推測しており、「彼はホーナーの下にもう一人、信頼できる人物を置くことを求めていた」としている。
しかし今回のホーナー退任により、「今後さまざまな可能性が広がる」としつつも、「これによりフェルスタッペンは2028年までの契約を全うすることになるだろう」とも述べている。
レッドブル・レーシングは今後、レーシングブルズ代表を務めていたローラン・メキースが新たに指揮を執り、レーシングブルズではアラン・パーメインが代表に昇格する形となった。
なお、フォードの関係者は「2026年のF1グリッド復帰を楽しみにしている」とコメントしており、ホーナー退任後もレッドブルとフォードの協業は継続する見通しだ。
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