・ホンダ/HRCがバッテリー関連トラブルで初の公式声明を発表
・Sakuraで再現試験を実施も根本解決は難しく走行計画を大幅変更
・最終日は6周のみで終了、開幕へ立て直しが急務
今シーズンからF1に復帰したホンダが、テスト期間中に初めてパワーユニットに関する公式声明を発表した。そこに記されていたのは、非常に厳しい現実だった。
舞台はバーレーン。2回目のプレシーズンテスト中に発生したトラブルについて、ホンダ/HRCは異例とも言えるタイミングで状況を公表したのである。
まずは、その公式ステートメント(原文)をご覧いただきたい。
STATEMENT
昨日2/19(木)バーレーンテスト2、2日目の走行中にフェルナンド・アロンソ選手のマシンにバッテリー関連の問題が発生し、Aston Martin Aramco Formula One Teamとのテスト計画に影響が出ています。
それ以降、HRC Sakuraにてトラックサイドと同時並行でテストベンチでの確認と分析を実施しています。本日の走行プランについては、パワーユニット関連パーツの不足により周回数を大幅に制限し、短いスティントのみで構成する走行プランに変更しています。
Honda | HRC
今季からF1に復帰したホンダが、テスト期間中にパワーユニット関連のトラブルについて公式声明を発表したのはこれが初めてだ。
木曜日に発生したトラブルが「バッテリー関連」であることを明確に示した点は重い意味を持つ。パワー不足の原因についてさまざまな憶測が飛び交う中、企業として事実を公式に示す判断を下した形だ。
実際、コース上で停止したマシンを回収する際、スタッフが感電防止用のゴム手袋を装着して慎重に作業していた様子も確認されている。高電圧系統に関わる問題だった可能性は高い。バッテリー本体だけでなく、システムを安全に停止させるスイッチ系統の不具合なども考えられる。
トラブル発生後、ホンダ/HRCはどのような対応を取っていたのか。
現地では故障箇所の分解と初期分析を実施し、画像やログデータを栃木県のHRC Sakuraへ共有。Sakuraでは故障前後のデータを基にテストベンチで再現試験を行い、原因究明を進めたとみられる。
その結果、短時間では根本解決が難しい問題が判明し、このままレースペースで走行を続ければ同様の事象が再発する可能性が高いと判断。チームと状況を共有した上で、走行プログラムの大幅な変更が決断されたと考えられる。
公式声明が発表されたのは、日本時間16時54分。すでにセッションが始まっている最中だった。Sakuraのエンジニアたちは夜通しで原因究明を行い、経営層とも協議したうえで、アストンマーティンではなくホンダとして情報を発信する道を選んだと推察される。
不明瞭な情報が広がるよりも、自ら事実を示す――その姿勢を明確にした形だ。
最終的にアストンマーティン・ホンダがこの日コース上を走ったのは、わずか6周。いずれもピットアウト後、そのままピットに戻る確認走行にとどまった。
他チームがロングランやショートラン、スタート練習など多様なプログラムを消化していく中、テスト最終日にタイムを記録することなく終えた事実は、控え目に言っても順調とは言えない状況だ。
内容は初日のシェイクダウンに近い状態であり、本来なら最終日に行うメニューではない。つまり、レーシングスピードでの走行が現実的ではない状況だった可能性が高い。低速での確認走行を重ねても、有効なデータはこれ以上得られないと判断したのだろう。
開幕までにどこまで立て直せるか。残された時間は多くない。ホンダとアストンマーティンにとって、真価が問われるのはここからだ。