アントネッリ「まだ手にしていないタイトルを、どう失うというんだ?」ラッセルの“心理戦”を一蹴

2026年06月08日(月)15:34 pm

記事要約


・5連勝中のアントネッリが、ラッセルの心理戦を一蹴した

・19歳の新星はメンタルコーチの存在や自身の成長も明かす

・F1のドメニカリCEOは「若き才能には鎧が必要」と忠告


メルセデスのキミ・アントネッリは、チームメイトのジョージ・ラッセルが放った「今やタイトル(年間王者)はアントネッリが失うだけの状況だ」という“心理戦”とも取れる発言を、冷静に受け流した。

現在19歳のアントネッリは、ポイントリーダーとしてF1モナコGPに臨み5連勝を挙げた。一方のラッセルは、ペナルティを受けポイント圏外へ、前戦カナダGPでも首位走行中にリタイアを喫した。

カナダGP後、ラッセルは「タイトル争いはアントネッリが崩れるかどうか次第です」と語り、モナコでも同様の見解を示した。

「僕にはもう失うものは何もないと思っています。アントネッリの立場から見れば、すでに十分なリードを築いています。あとはそれを維持するか、あるいは自ら手放すか、そのどちらかです。つまり、タイトルは彼次第です」

イタリアメディアからこのコメントについて問われたアントネッリは、笑みを浮かべてこう語った。

「もちろん、その話は聞いていますよ。聞いたときは思わず笑ってしまいました。こんなに早い段階でそういう話をするのは意味がないですからね」

さらに、ラッセルの主張を一蹴するように続けた。

「それに、まだ手にしていないものを、どうやって失うんですか?」

アントネッリは、これをプレッシャーをかけるための心理戦だと認識している。

「ジョージは確実に僕にプレッシャーをかけたかったんだと思います。でも僕は、それをうまく受け流していますよ。僕はすべてのレースで勝つために走っていますし、時には結果を受け入れなければならないこともあるでしょう。ですが実際のところ、僕には失うものなんて何もありません。いつも通りレースを楽しみ、その結果どうなるかは、やってみれば分かることです」

■メンタル面にも言及「話を聞いてくれる存在が必要」

若きアントネッリが、F1トップランナーとしてのプレッシャーにどう対処しているのかという点にも、周囲の注目が集まっている。アントネッリ自身も、高まる世間からの厳しい視線に対応するため、メンタルコーチをつけていることを明かした。

「プライベートで話を聞いてくれる存在は重要です。批判することなく、ただ耳を傾けてくれる人がいることは助けになります。19歳の僕にとって、周囲に知らない人が多い環境は、時に難しいこともありますから」

さらに、カナダGPでのラッセルとの激しいバトルが自身の成長につながったと振り返った。

「カナダGPでは、感情のコントロールについて多くを学びました。スプリントでは、いつも以上にアグレッシブに戦うことができましたし、それは、これまで熱心に取り組んできた成果でもあります」

また、自身の変化については「よりハングリーになりました」と表現しつつも、適切なバランスを取ることが重要だと強調した。

「これからは、そのエネルギーの配分をうまくコントロールする必要があります。やりすぎは良くありません」

ポイントリーダーでありながら、精神的には何も変わっていないとも語る。

「もちろん、期待が高まっているのは分かっていますが、僕のアプローチが変わることはありません。マシンに乗り込んだら、常に最高の結果を目指すだけです。秋になったときに自分がどの位置にいるか、それを楽しみにしています。プレッシャーは感じていませんし、リラックスしています。ジョージが僕の行く手を阻もうとしてくるのは分かっていますが、それにひるむつもりはありません」

■メルセデスは“自由なレース”容認も教訓共有

タイトル争いの緊迫感が高まるなかでも、メルセデスはドライバー同士の自由なレースを認めている。

アントネッリは次のように語った。

「僕たちは二人とも素晴らしいポジションにいて、素晴らしいマシンに乗っています。そして、どちらも勝ちたいと思っています。チームに混乱をもたらしたくはありませんし、トト(トト・ウォルフ代表)を怒らせたくないのは確かです。ですが同時に、ドライバーに手綱をつけることはできません。特に勝利やタイトルがかかっている時はなおさらです。ジョージと僕に関して言えば、カナダGPの一件を経て、これからはもっとスマートに戦いたいと思っています」

■F1のCEOドメニカリも言及「彼には“鎧”が必要」

F1の最高経営責任者(CEO)であるステファノ・ドメニカリもアントネッリの急成長に言及し、周囲に慎重な対応を求めた。

F1カナダGP後、イタリアのポッドキャスト番組『Sette Vite』で、ドメニカリは次のように語った。

「彼はまだ自然体でいられる素晴らしい若者です。過度なプレッシャーをかけず、成長を見守る必要があります」

ドメニカリはアントネッリのこれまでの功績を称えつつも、成功に伴うリスクにも言及した。

「彼には成熟するための時間が必要です。ただ、連続でグランプリを制したドライバーは多くありません。それが彼の強さを証明しています」

「僕は彼のような若者が好きですし、あの年齢らしく、純真なところもいいと思います。ただ、この世界では、誰もがキミの成功を喜んでくれるわけではないということを理解しなければなりません。ある程度の“鎧”を身にまとう必要があるのです」とドメニカリは語った。

この発言の後、アントネッリは大波乱となったF1モナコGPでポール・トゥ・ウィンを達成。モナコGP最年少優勝者となり、5連勝を飾った。

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