400度耐熱スーツにEV技術!フォーミュラE東京に挑む日本企業4社の真意とは

2025年05月14日(水)23:00 pm

記事要約


・帝人が難燃素材「コーネックス」を使った軽量スーツを披露

・ヤマハはEV技術強化を狙い、自社開発パワートレインで参戦

・TDKと長瀬産業は技術革新とグローバル発信を目的に協賛


2025年5月14日、フォーミュラE東京大会を前に、東京都内で帝人がイベントを開催した。

フォーミュラEには、帝人、ヤマハ発動機、TDK、長瀬産業といった日本企業が、それぞれの立場から関わっている。共通するのは、フォーミュラEが掲げる「サステナビリティ×モータースポーツ」という理念だ。

■帝人:400度の熱に耐えるレーシングスーツ素材

会場には、帝人がサポートする緑色の「エンビジョン・レーシング」のマシンとレーシングスーツが展示された。

帝人は、400度の高温に耐える難燃性繊維「コーネックス」をレーシングスーツに提供している。これまで主に消防服向けに使われていたが、今回は新たな用途としてレースの現場に応用された。従来製品よりも軽量で、機能性の向上も実現している。

同社は素材メーカーとして、サーキュラーエコノミーの実現を重要な社会課題と位置づけており、エンビジョン・レーシングの取り組みに共感している。

■ヤマハ発動機:EV技術を鍛える

ヤマハ発動機は今シーズンから「ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム」として参戦し、電動パワートレインやエネルギーマネジメントのソフトウェアを提供している。

「フォーミュラEでは、満充電で走れるのは全体の50〜60%程度。残りは回生ブレーキでエネルギーを回収しながら走行します。エネルギーマネジメント戦略こそがこのレースの醍醐味であり、勝負を分ける要素です。多様なモビリティを開発するヤマハ発動機にとって、電動化やエネルギー効率の向上は取り組むべき課題。極限環境で自社のEV技術を鍛え、進化させたいと考えています」

また、「感動創造企業」を掲げるヤマハ発動機は、フォーミュラEを通じて“ワクワク感”とサステナビリティが両立することを再認識したという。

■TDK:技術を磨く

TDKは「ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム」とパートナーシップを結んでいる。フォーミュラEとの協働は、同社のエンジニアにとって「思考の幅を広げる機会」になっているという。

TDKといえば、かつてはカセットテープのイメージが強かったが、現在は積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)や温度センサーなどが主力事業だ。

「レーシングチームと部品メーカーでは、技術開発における発想のアプローチが大きく異なります。だからこそ、そこからブレイクスルーが生まれる可能性があると期待しています」

■長瀬産業:グローバルブランディング

化学系専門商社の長瀬産業は、「アンドレッティ・フォーミュラEチーム」にスポンサーとして参加している。その目的は「グローバル・ブランディング」の強化だ。

同社は190年以上の歴史を持つ企業ながら、グローバルでの認知度向上が課題だったという。フォーミュラEのサステナビリティへの本気の姿勢に共感し、スポンサー契約を決断した。

フォーミュラEは世界10都市で開催されており、チーム協賛を通じて「NAGASE」ブランドの国際的な発信に貢献している。

また、商社としてサプライチェーン全体の脱炭素を目指しており、フォーミュラEの実践から多くの知見を得ているという。

■今年のフォーミュラE東京大会はダブルヘッダー開催

第2回となる東京大会は、昨年に続き東京ビッグサイト(東京国際展示場)周辺に特設コースが設置される。今年は土曜・日曜の2日間にわたるダブルヘッダー(2レース制)での開催となる。

金曜日16時からフリー走行1回目が行われ、土曜日の第8戦および日曜日の第9戦の予選はともに10時20分スタート、決勝は15時に開始予定となっている。

なお、土曜日の第8戦では、今季3回目となる「ピットブースト」が導入される。これは、レース中にピットレーンで30秒間の急速充電を実施し、バッテリー残量を10%(3.85kWh)増加させるシステムだ。

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