・前戦オーストリアGPで惨敗のレッドブル、シルバーストンで巻き返しに期待
・高速コースのイギリスGPでフェルスタッペンが優位との声もあるが、結果次第で信頼揺らぐ可能性も
・フェルスタッペンとメルセデスの交渉再燃、移籍の可能性を巡る憶測が活発化
レッドブルのホームグランプリとなった前戦オーストリアGPで、ペース不足に加え、マックス・フェルスタッペンが1周目でリタイア、角田裕毅は最下位という苦い結果に終わった。この厳しい週末を受け、通常は前向きな姿勢を貫くヘルムート・マルコも、フェルスタッペン同様に両タイトルの望みを事実上諦める姿勢を見せた。
ただ、現在ランキング首位のマクラーレンとは61ポイントもの差があるものの、今週末のイギリスGP(シルバーストン)では巻き返しの可能性もあると見られている。
「シルバーストンがどうなるか非常に興味深いです」と語るのは、オランダの『De Telegraaf』紙のエリク・ファン・ハーレン記者。
「気温が低く、そして高速コーナーが多い。レッドブルがどの位置にいるのかを見極める上で、非常に重要な週末になるでしょう」
元F1ドライバーのクリスチャン・アルバースもこう述べている。
「予想するなら、レッドブルはこのサーキットで非常に強いはずだと分析しますよ。高速セクションと長いストレートがあるシルバーストンでは、マックスが優位に立てると思います」
だが仮にこの週末もうまくいかなければ、フェルスタッペンにとってはタイトル争いの終焉だけでなく、チームへの信頼感すら揺らぎかねない。
オーストリアGPでは、フェルスタッペンのマネジメントとメルセデス代表トト・ウォルフとの間で、再び本格的な交渉が再開されたという噂が飛び交っていた。
今季好調のジョージ・ラッセルはまだ契約を更新しておらず、ウォルフはこう述べている。
「誰かを待たせたいわけではないが、まだ十分に時間はある。夏休み明けまでにはすべてが決まるだろう」
2026年のメルセデスのラインアップには、フェルスタッペンと、ウォルフが育成する18歳の有望株キミ・アントネッリが並ぶのではとの見方もある。アントネッリはオーストリアGPでフェルスタッペンと接触し、リタイアに追いやった張本人だ。
元F1ドライバーのアレクサンダー・ブルツは、ウォルフに対し冗談交じりに問いかけた。
「マックスとキミがあれだけ仲良さそうだったのは、来年チームメイトになるからじゃないのかな?」
ウォルフはORFでこう答えた。
「彼らは互いにリスペクトしています。マックスはキミのキャリアを好意的に見ているし、2人には多くの共通点があります」
これに対し、ブルツは「つまり答えは“ノーコメント”ってことですね」と茶化してみせた。
一方、レッドブルのアドバイザーであるマルコは、ウォルフにこう忠告する。
「マックスの隣に座る者は、どうしても悪く見えてしまう。そしてアントネッリのようなF1キャリア2年目の若手にとって、マックスと組むのは早すぎる」
『Auto Motor und Sport』のミヒャエル・シュミット記者も、フェルスタッペン獲得にはリスクがあると語る。
「チームがマックス中心の体制になるリスクがある。今のレッドブルがまさにそうだ。しかもラッセルとマックスが同じチームになれば、花火のようなバチバチの展開になる。もちろんリスクも相当なものになる」
オランダのレーシングパーソナリティ、トム・コロネルは、むしろフェルスタッペンにとってメルセデス移籍のほうがリスクだと指摘する。
「ところで、メルセデスはオーストリアでどれだけ競争力があったか覚えてるかい?」
「信じていいよ。マックスはレッドブルに残るだろう」
さらにコロネルは、フェルスタッペンが依然として5連覇の可能性を残しているとすら考えている。
「2台のマクラーレンが同士討ちすれば、可能性はある。実際、それに近い場面もあったからね」
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