・ADUOによって勢力図が変わるならそれは失望以外の何物でもないと語るウォルフ
・ADUOの適用対象は実質1社に限られるとの見方を示すウォルフ
・ウォルフの認識では、現時点でADUOが必要なPUメーカーは1社のみ
メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフは、FIA(国際自動車連盟)に対し、新たなパワーユニット(PU)救済措置が現在の競争バランスを崩さないよう警告した。
フェラーリさえもADUO(追加開発・アップグレード機会)の恩恵を受ける可能性があるとの憶測が広がっており、それによってメルセデスとの差を縮める、あるいは逆転する可能性も指摘されている。これについてウォルフ代表は、もしそうなれば「驚きであり、失望でもある」と明言した。
「すべてのチームは、他のPUの性能についてそれぞれ評価を持っています。そして私の見解では、問題を抱えているメーカーは1社だけであり、その1社にのみ支援が必要なのです。それ以外のPUメーカーはほぼ同じ水準にあります。ですから、ADUOが現在の序列に干渉するような決定が下されるのであれば、私は非常に驚き、失望することになるでしょう」とウォルフ代表は語った。
ADUOは、性能が劣るPUメーカーに対し、追加の開発余地を認める仕組みで、規定の性能差に該当した場合、※ダイノ使用時間の増加や予算制限の緩和、さらには新型PUの投入までが可能となる。
※ダイノ:ダイナモメーターの略称で、F1のPUの性能、信頼性、燃費をテスト・計測するための専用装置、またはその設備を指す
ウォルフ代表は、この制度の本来の趣旨が守られるべきだと強調する。
「こうした追加の開発機会の根本原則は、常に遅れている側が追いつくことを可能にするためのものであり、先行している側を追い越すためのものではありません。もし絶対的な精度、明確性、透明性をもって運用されなければ、こうした決定はパフォーマンスの構図やタイトル争いに重大な影響を及ぼす可能性があることを、明確に理解しておく必要があります」
ウォルフ代表は具体的なメーカー名には言及しなかった。ただ、支援対象に該当するのは1社のみであるとの認識を示しており、それがホンダであるとの見方が広がっている。
「他のすべてのメーカーについては、ほぼ同じ条件下にあります。数値も非常に近いものです」
さらにウォルフ代表は、メルセデスが詳細な内部データを保有していることも明かした。
「私たちはライバル、そして自分たちのPUについて、精密な内部分析データを持っています。FIAも同じ数値を見ていると考えています。私は、FIAが今後も競技の公正性を守ることを最優先にしてくれると心から願っています」
初のADUO適用判断は、モナコGPまたはバルセロナ・カタルーニャGPを前に下される見通しであり、そのタイミングも重要視されている。
フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、この仕組みが同チームの「ギャップを縮める」可能性に言及しており、メルセデスは、この制度が単なる安全策以上の役割を持つのではないかとの懸念を強めている。
「ここに小細工の余地はありません」とウォルフ代表は強調した。
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