2026年10月2日(金)、F1第16戦バーレーンGP in マレーシアがセパン・インターナショナル・サーキットで開幕し、初日はFP1とFP2が行われた。
F1がセパンで開催されるのは2017年以来9年ぶり。今回のグリッド22人のうち、セパンでF1決勝を走った経験があるのは10人で、シャルル・ルクレールは2017年にザウバーからFP1のみ出走している。
つまり、今回のドライバー22人は、セパン経験者11人と初走行の11人にちょうど半分ずつ分かれている。高速コーナーと低速コーナーが組み合わされ、路面も粗く、暑さによるタイヤやマシンへの負担も大きいセパン。では、過去の走行経験は9年ぶりの初日にどの程度影響したのだろうか。
まず、FP1とFP2の結果にセパン経験者を示す印を付けてみると、経験者と初走行組が上位に入り交じっていることが分かる。
※◎:セパンでF1優勝経験あり
※●:セパンでF1決勝出走経験あり
※▲:セパンでF1走行経験あり(2017年FP1のみ)
1◎マックス・フェルスタッペン(レッドブル/フォード)
2 ジョージ・ラッセル(メルセデス)
3 イザック・ハジャー(レッドブル/フォード)
4▲シャルル・ルクレール(フェラーリ)
5 アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
6◎ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
7●ピエール・ガスリー(アルピーヌ/メルセデス)
8 リアム・ローソン(レーシングブルズ/フォード)
9 アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ/フォード)
10●ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
11 オスカー・ピアストリ(マクラーレン/メルセデス)
12 ランド・ノリス(マクラーレン/メルセデス)
13 ガブリエル・ボルトレート(アウディ)
14◎フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン/ホンダ)
15●エステバン・オコン(ハース/フェラーリ)
16 オリバー・ベアマン(ハース/フェラーリ)
17 アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ/メルセデス)
18●ランス・ストロール(アストンマーティン/ホンダ)
19 フランコ・コラピント(アルピーヌ/メルセデス)
20●カルロス・サインツ(ウィリアムズ/メルセデス)
21●バルテリ・ボッタス(キャデラック/フェラーリ)
22●セルジオ・ペレス(キャデラック/フェラーリ)
1▲シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2 イザック・ハジャー(レッドブル/フォード)
3 ランド・ノリス(マクラーレン/メルセデス)
4◎マックス・フェルスタッペン(レッドブル/フォード)
5◎ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
6 オスカー・ピアストリ(マクラーレン/メルセデス)
7 ジョージ・ラッセル(メルセデス)
8 アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
9 リアム・ローソン(レーシングブルズ/フォード)
10●ピエール・ガスリー(アルピーヌ/メルセデス)
11 アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ/フォード)
12 ガブリエル・ボルトレート(アウディ)
13●ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
14●エステバン・オコン(ハース/フェラーリ)
15◎フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン/ホンダ)
16 オリバー・ベアマン(ハース/フェラーリ)
17●カルロス・サインツ(ウィリアムズ/メルセデス)
18●ランス・ストロール(アストンマーティン/ホンダ)
19●バルテリ・ボッタス(キャデラック/フェラーリ)
20 アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ/メルセデス)
21●セルジオ・ペレス(キャデラック/フェラーリ)
22 フランコ・コラピント(アルピーヌ/メルセデス)
FP1では経験者11人の平均順位が12.55番手だったのに対し、初走行組は10.45番手。トップ10に入った人数は経験者5人、初走行組5人で並んだ。
FP2でも経験者の平均順位は12.45番手、初走行組は10.55番手となり、トップ10は経験者4人に対して初走行組6人だった。
全22人の順位だけを比較すると、セパン経験者が有利だったとは言えず、むしろ初走行組の平均順位が2セッションとも上回っている。初走行ながらハジャーはFP1で3番手、FP2で2番手。ラッセルはFP1で2番手、ノリスはFP2で3番手につけるなど、セパンを初めて走るドライバーも早い段階から上位に進出した。
9年ぶりの開催で実走経験がないドライバーがこれほど早く適応できた背景には、シミュレーターによる事前準備の効果もあるのかもしれない。過去の走行経験がアドバンテージになり得る一方で、現代F1ではシミュレーション技術によって、初走行のサーキットでも短時間で経験者との差を縮められることを示しているとも考えられる。
ところが、チーム別に比較すると面白い結果となった。
マシン性能の影響を少しでも減らすため、「同じチームで経験者と初走行ドライバーが組んでいる5チーム」だけを見ると、FP1は経験者の4勝1敗、走行を重ねたFP2は経験者の3勝2敗となった。
FP1:経験者の4勝1敗
◎フェルスタッペン 1番手 |ハジャー 3番手
●ガスリー 7番手 |コラピント 19番手
●ヒュルケンベルグ 10番手|ボルトレート 13番手
●オコン 15番手 |ベアマン 16番手
アルボン 17番手 |●サインツ 20番手
FP2:経験者の3勝2敗
ハジャー 2番手 |◎フェルスタッペン 4番手
●ガスリー 10番手 |コラピント 22番手
ボルトレート 12番手|●ヒュルケンベルグ 13番手
●オコン 14番手 |ベアマン 16番手
●サインツ 17番手 |アルボン 20番手
2セッション合計では、経験者が7勝、初走行組が3勝となった。全22人の平均順位では初走行組が経験者を上回っていたが、同じマシンを走らせるチームメイト同士に絞ると、セパン経験者が10回中7回で上回ったことになる。
現在のグリッドには、セパンでF1を制した経験を持つドライバーが3人いる。フェルナンド・アロンソは過去3勝、フェルスタッペンとハミルトンはそれぞれ1勝を挙げている。その3人の初日を見ると、フェルスタッペンはFP1でトップ、FP2でも4番手。ハミルトンはFP1で6番手、FP2で5番手と、両セッションで上位につけた。
一方、セパンで現役最多3勝を誇るアロンソはFP1で14番手、FP2で15番手だった。豊富な経験があっても、現在のマシン性能やセットアップ、タイヤ、走行プログラムなどの影響は大きく、過去の実績だけで順位が決まるわけではないことも表れている。
興味深いのがルクレールだ。ルクレールは2017年のマレーシアGPでザウバーからFP1に出走しているものの、決勝を走った経験はない。しかも、そのFP1は雨のコンディションで行われた。そのため、ほかの10人とは異なる「FP1のみのセパン経験者」となる。それでも今回はFP1で4番手につけ、FP2ではトップタイムを記録した。
初日の結果だけを見る限り、「セパン経験者だから速い」と単純に結論づけることはできない。実際、22人全体で比較すると初走行組の平均順位が経験者を上回り、ハジャー、ラッセル、ノリスら初走行組も上位に進出した。
その一方で、マシン性能の影響を少しでも抑えるため同じチームのドライバー同士で比べると、経験者が10回中7回で初走行のチームメイトを上回った。もちろん、フリー走行では燃料搭載量、使用タイヤ、セットアップ、走行プログラムが異なるため、順位だけで走行経験の効果を断定することはできない。
それでも、9年ぶりにF1が戻った難コースのセパンで、過去の経験がドライバーのコースへの適応を助けている可能性は、初日の数字からもうかがえる。
予選では経験者と初走行組の差がさらに縮まるのか。それとも、限界まで攻める一発のアタックでセパン経験者の強みが表れるのか。土曜日のFP3と予選では、その点にも注目したい。
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