元ミナルディF1をドライブしていたクリスチャン・アルバースは、レッドブルがヘルムート・マルコ博士との契約を突然変更したことに批判的だ。
この契約変更では、マルコ博士が早期離脱した場合、マックス・フェルスタッペンの離脱を認める条項が消されていると報じられている。
これに対して、アルバースはぶっきらぼうに語った。
「彼らは単に平和を作り出すために大金を支払っただけだ」
「その条項が本当になくなれば、マックスの契約は2028年まで有効になる。もし彼がクルマのパフォーマンスを気に入らなかったら話は別だけどね」
■レッドブルF1は混乱から平和を取り戻すのか?
いつもは言ってはいけないことも言い過ぎてしまい周りを困らせているマルコ博士だが、契約条項の削除に関する報道については「事実ではない」と否定し、「公で議論するつもりはない」「フェルスタッペンに直接影響を与えるものではない」と発言した。否定はしているものの多くを語ろうとしなかったことから、アルバースが推測する「大金で解決した」という指摘もあり得るが、真実は当事者のみしかわからないことだ。
しかし実際、レッドブルは権力闘争により上層部がスポーツ面以外で時間を取られている間に、エイドリアン・ニューウェイを含め主要技術陣を次々と失っている。そして、他チームに比べてアップグレードがうまく機能していないため、パフォーマンス差が縮まり、マクラーレンが実力で勝てるほどになった。
パフォーマンスを落としているレッドブルに対して、危機感を表明していたフェルスタッペンはハンガリーGPで激怒しており、不満を抱いていることを隠そうとしていない。
このままでは、車両パフォーマンスへの不満によりフェルスタッペンが契約解除をすることもあり得ることも考えられ、権力闘争をしている当事者である首脳陣が一堂に会してハンガリーGPで昼食を共にした。そこに集まっていたのは、タイの株主チャレーム・ユービディヤ、エナジードリンク会社の新しいスポーツCEOのオリバー・ミンツラフ、レッドブルの弁護士、そしてクリスチャン・ホーナー代表とヘルムート・マルコ博士だったと『Bild(ビルト)』紙は報じた。
そしてミンツラフCEOは「私たちは一丸となっており、唯一の目標はチームにとって最大限の成功を収めることです」と『Bild(ビルト)』紙に語り、社内の権力争いではなく、スポーツ面のパフォーマンスに集中しなければならないことを全員で確認している。
権力闘争をしていても、チームが弱体化しては意味がない。レッドブルは、F1最強チームの地位を守るため、数々の問題解決に向けて1つずつ組み立て直しているようだ。
ハンガリーGPでは2種類のエンジンカバーを2台に分けて走らせていたレッドブルF1だが、このデータを基に後半戦の開発の方向性を決めて、フェルスタッペンが満足するマシンを作り上げ、圧倒的な速さと強さと安定感を取り戻す必要がある。