フェラーリ、メルセデスAMG、そしてマクラーレンまでもが、レッドブルの4連覇阻止を視野に入れている。
このうちマクラーレンは、2012年マシンの進化型ではなく革新的なクルマを設計したことが裏目に出ており、2013年F1シーズン開幕から2戦を終えた段階で、4ポイントしか獲得できていない。そのため、すでに2013年の上位争いから脱落したという声もある。
しかし、マクラーレンでの4シーズン目を迎えたジェンソン・バトンは、タイトル争いに加わることは「間違いなく」可能だと『Mirror(ミラー)』紙に話している。
「とても大きな変化があったんだ」とバトンが語るのは、マクラーレンの2013年型MP4-28についてだ。精彩を欠いたF1開幕戦オーストラリアGPからわずか1週間後の第2戦マレーシアGPで、クルマは見違えるほど進化していたとバトンは語る。
「セパン(マレーシアGP)で、僕たちはレース中ほぼずっとロータスより速かった。さらに僕たちは、レース中ほぼずっとフェラーリよりも速かった」
オーストラリアGPで勝利したキミ・ライコネンが属するロータスと、2013年シーズンのドライバーチャンピオン本命とも言われるフェルナンド・アロンソ属するフェラーリよりもペースが速かったことを誇らしげに語ったバトンは、「かなり状態が良くなったから、メルボルン(オーストラリアGP)での落ち込みからすっかり立ち直ったよ」と、クルマのトラブルによりマレーシアGP決勝を最後まで走りきれなかったことも気にしていない様子だ。
マクラーレン陣営から聞こえる自信の声の主は、バトンだけではない。チーム代表のマーティン・ウィットマーシュの「中国GP(4月14日決勝)でさらに進歩できなかったら、ひどくがっかりするだろうね」という、第3戦中国GPでの活躍を確信した言葉を伝えている。
マクラーレンが今後の進化に期待を寄せる一方、すでに速さを見せつけたのがフェラーリだ。2012年シーズンに最後までセバスチャン・ベッテル(レッドブル)とチャンピオン争いを演じたアロンソはもちろん、この数年スランプに陥っていたフェリペ・マッサに復活の兆しが見えている。マレーシアGPではアロンソがオープニングラップの接触でリタイアした後、安定したレース運びで5位入賞を果たしたマッサはチームに10ポイントをもたらした。
フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリはイタリアの『Corriere della Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』に「今のところ、やはりレッドブルが最強のチームだと思っている」と、ライバルについて話している。
「メルセデスAMGは進化しているし、ロータスはとても強い。おもしろく厳しいシーズンになるだろうが、われわれもトップ集団の一員だ」
マクラーレンのバトン、フェラーリのドメニカリと同様に、レッドブルへの挑戦権を持っていると話すのは、マクラーレンからメルセデスAMGに移籍したばかりのルイス・ハミルトンだ。現時点でドライバーズランキング1位のベッテルの獲得ポイントは40点、そしてハミルトンはすでに25点を手にし、ランキング2番手のライコネン、3番手のマーク・ウェバー(レッドブル)に続く4番手につけている。
ハミルトンはマレーシアGPで表彰台に立ったとはいえ、ワンツーフィ二ッシュを決めたレッドブルの後ろでゴールしたにすぎない。しかし、ハミルトン本人はセパンのレースを振り返ってフィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』にこう話している。
「レッドブルのペースについていけたときは、いい気分だったよ」
結局ハミルトンはレース終盤に燃料不足の心配からペースを落として走ったが、それさえなければ「状況は違ったはずだよ、絶対にね」と確信しており、自信をもってこう続けた。
「今の方向に進んでいけば、シーズン中にどこかで勝てるはずさ」