・ホンダ学園創立50周年企画で佐藤琢磨がラリー初挑戦
・1975年式初代CIVIC RSで学生が整備・運営も担う
・2026年2月のモンテカルロ・ヒストリックに参戦予定
2025年8月7日(木)、ホンダ学園・関東校(埼玉県ふじみ野市)にて、元F1ドライバーでインディ500を2度制している佐藤琢磨のラリー初挑戦が発表された。
これはホンダ学園が2026年に迎える創立50周年を記念したチャレンジ企画の第一弾として、2026年2月にヨーロッパで開催される「第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」への出場を決定したもの。
このチャレンジには、ホンダ学園の学生約30名が有志で参加。参戦車両は1975年式の初代CIVIC RSを2台使用し、学生たちが自らレストアや整備、部品調達を行うほか、現地での運営支援やナビゲーター対応なども担う。企画書も参加学生が作成したという。
参戦費用は本田技研や約320社の企業からの寄付金や部品提供など、多方面からの支援によってまかなわれる。タイヤについては佐藤自身が、契約先のブリヂストン石橋社長へ直談判した結果、このチャレンジのために13インチのスタッドレスタイヤが特別製作されることとなった。
佐藤はアンバサダー兼ドライバーとして参戦し、学生たちとともに過酷な国際ラリーに初挑戦する。事前に国内ラリーへ参戦する予定はなく、ホンダのテストコースでの走行を経て本番に挑む。
ラリー経験を問われた佐藤は「ラリー経験はゼロでございます(笑)。しかしモノづくりにも興味があるので、全力で走ります」と意欲を示した。また、「インディ500のオーバルとは真逆の競技。学生と同じ気持ちで新たな挑戦に臨みたい」と語りつつも、「やるからには優勝を狙いたい」とレーシングドライバーらしい高い目標を掲げた。
ただし、このラリーは決められた区間を決められた平均速度とタイムで正確に走る点数制競技で、速すぎても遅すぎても減点となる。競技者には非公開ポイントでの速度チェックもあるため、いかに減点を減らすかが勝敗に影響する。特に計測地で速すぎる場合は減点が大きいと説明されると、佐藤は「優勝を目指すというのは撤回します(笑)」と柔軟に対応し会場を沸かせた。そして「学生たちも含めてみんなが初めてなので正確に走りたい」と語った。
さらに英語のレギュレーション翻訳から準備が始まり、学生にとっては言語も一つの壁となっている。車両レストア中にも競技規則に適合しないため断念するアイデアが出るなど、既に多くの学びが生まれている。加えて、競技用車検の前に一般車検を通す必要が判明し、スケジュールを1か月前倒しして急ピッチで準備を進めている。
この日は佐藤のシートフィッティングの様子も公開された。レーシングシューズに履き替えてシートに座った佐藤は「あと5mm上げられる?」など細部まで調整を指示。世界レベルで戦うドライバーならではの妥協なき姿勢に、学生たちも真剣な表情で応えていた。

シートフィッティングをする佐藤琢磨(C)TopNews
競技の鍵となるラリーコンピューターは、基板から専用設計に挑戦。距離とタイムを正確に計算し、減点を避けるための重要な装備で、ドライバーとコ・ドライバー双方に欠かせない計器となる。様々な条件下で正確に入力できるよう、学生たちは試行錯誤を重ねている。

「ホンダ学園が創立50周年を迎えるにあたり、学生たちが佐藤琢磨選手と共に『ラリー・モンテカルロ・ヒストリック』へ挑戦できることを大変うれしく思います。学生たちが取り組むヒストリックカーのレストアは、マニュアルも部品もない“答えのない実習”であり、まさに逆境への挑戦です。仲間と共に課題を乗り越え、技術者として、そして人として成長してくれることを願っています」
「ホンダ学園の皆さんとはこれまでも多くの交流を重ねてきましたが、今回は50周年記念プロジェクトを通じて共に世界に挑戦できることを大変光栄に思います。学生の皆さんが“挑戦のスピリット”と“あきらめない姿勢”を存分に発揮し、仲間と共に成長していく姿を見るのが楽しみです。
私自身、現役でインディ500に参戦しながら若手ドライバーの育成にも力を注いでいますが、今回のプロジェクトは世界で活躍できるエンジニアの育成にもつながると期待しています。この大きな挑戦を、学生の皆さんと共に全力で楽しみたいと思います」
学園ツアーでは、学生たちの学ぶ意欲や積極性が印象的だった。今回のチャレンジでも女性がリーダーを志願するなど、モノづくりの現場で多様な人材が活躍している。
実際、卒業生たちはF1やホンダジェットなどのエンジニアになっているといい、今の学生たちの中から将来のF1エンジニアが生まれる可能性もあるだろう。
1976年に創設されたホンダ学園は、「技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい」という本田宗一郎の理念のもと、関東・関西(大阪府大阪狭山市)の2拠点で、実践力と人間力を備えた技術者を育成してきた。
今回の挑戦は、50周年記念企画の第一弾として「技術の伝承」と「挑戦文化の醸成」を掲げ、変えるべきものと守るべきものを見極めながら理念を次世代へ継承する取り組みとなる。
主催:Automobile Club de Monaco(ACM)
開催期間:2026年2月1日(日)〜2月7日(土)
開催地:モナコを起点に、南仏アルプスなど複数都市を巡るルート(フランス、イタリアなど)
参加条件:
・1911〜1986年1月までのラリー・モンテカルロ出場実績のある車種、または同等仕様のヒストリックカー
・規定のオリジナリティと整備状態を保持すること
※Honda車では初代CIVICが唯一の該当モデル
レース形式:レギュラリティラリー
・全行程約2,000〜3,000kmを指定平均速度で正確に走行
・スピードではなく精度と対応力を競う
ホンダ学園 創立50周年チャレンジ始動!
1975年式 初代CIVIC RSを学生たちが自らレストアし、2026年2月にモナコを起点に欧州の複数都市で行われるラリー・モンテカルロ・ヒストリックに出場します。
整備、部品調達、現地運営まで全てを自分たちの手で。… pic.twitter.com/stckhiJHgh
— Honda 本田技研工業 (@HondaJP) August 7, 2025




