F1オランダGPのフリー走行1回目(FP1)が行われた。今週末はスプリント・フォーマットのため、決勝までにマシンを試せるフリー走行は、このFP1のわずか1時間しかない。
その限られたセッションに、レッドブルへ緊急招集されたF1フル参戦2年目のリアム・ローソンと、レーシングブルズから8カ月ぶりにF1実戦へ戻ってきたF1参戦6年目の角田裕毅が臨んだ。
2人にとって今回のオランダGPは、思わぬ形で巡ってきた大きなアピールの機会でもある。
レッドブルにとっても、短時間で異なるマシンに適応するローソンと角田の走りは、今後のドライバー選択を考えるうえで重要な判断材料になりそうだ。
F1ドライバーである以上、全員が絶対的な速さを持っている。そのなかで求められるのは、新たなマシンから短時間で多くの情報を吸収し、その速さをどれだけ早く引き出せるかだ。
今回のFP1では、まさにその「適応力」が試されることになった。
レーシングブルズは、F1参戦1年目のアービッド・リンドブラッドと、新世代マシンで初めて実戦に臨む角田に、基本的に同じタイヤを履かせて走行させた。
セッション開始時は路面がまだ濡れており、2人はインターミディエイトタイヤでコースイン。1周して路面状況を確認すると、その後は他チームと同じようにドライタイヤへ切り替えた。
レーシングブルズは、まず2人に新品のハードタイヤを装着。リンドブラッドは14周を走った後にピットインし、再び同じハードタイヤで10周を走行した。
角田もハードタイヤで15周を走った後にピットインし、その後、同じタイヤでさらに8周を重ねた。
角田にとっては2026年型レーシングブルズでの初セッション。まずは周回数を重ねながら、マシンの挙動やブレーキング、タイヤの使い方などを確認する時間となった。
セッション終盤、レーシングブルズは2人に新品のミディアムタイヤを装着し、よりタイムを意識した走行へ移った。
リンドブラッドはミディアムタイヤで10番手タイムを記録。ソフトタイヤでベストタイムを記録した11番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を0.040秒上回った。
一方の角田も、リンドブラッドと同じ新品ミディアムタイヤを装着したが、ベストタイムでは0.825秒及ばず、17番手となった。
同じタイヤでの比較だけを見れば、初日の段階ではリンドブラッドが角田を大きくリードした形だ。
ただし、角田にとっては2026年型マシンで初めて迎えた実戦セッションであり、しかも走行時間はわずか1時間。単純にタイムを追うだけでなく、新たなマシンの特性を把握することも重要な課題だった。
2026年のF1マシンは、角田がこれまでレギュラードライバーとして戦ってきたマシンとは大きく異なる。
新たなパワーユニット、アクティブエアロを含む車体特性、エネルギーマネジメントなど、ドライバーに求められる操作や走らせ方も変化している。
その新世代マシンをわずか1時間でどこまで理解できたのか。
角田はFP1で得たデータと感覚を振り返りながら、この後のスプリント予選、土曜日のスプリント決勝と公式予選、そして日曜日の決勝に向けてセットアップと自身のドライビングを組み立てていくことになる。
FP1の0.825秒差が、そのまま週末を通した実力差になるとは限らない。
むしろ重要なのは、ここから角田がどれだけ早くマシンへの理解を深め、リンドブラッドとの差を縮めていけるかだ。
リザーブドライバーという立場にある角田にとって、F1マシンを実戦で走らせるチャンスは決して多くない。
今回のオランダGPは、突然巡ってきた代役参戦であると同時に、自らの価値を改めて証明する大きな機会でもある。
好調なリンドブラッドとの差を縮め、スプリント予選以降で存在感を示すことができれば、再びレギュラーシート候補として自らの名前を強く印象づけることができる。
ホンダのバックアップがなくなった今、角田は一人のF1ドライバーとして、自らの速さと適応力だけで生き残りをかけて戦っている。
その答えは、FP1の順位ではなく、この週末を通してどこまで進化できるかに表れることになる。
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