イザック・ハジャーの負傷によって急きょ生まれたレッドブルの空席には、リザーブドライバーの角田ではなく、レーシングブルズのローソンが起用された。
その大きな理由のひとつと考えられるのが、2026年型F1マシンでの実戦経験だ。
ハジャーはサマーブレイク中のトレーニングで手首を負傷し、F1オランダGPを欠場することになった。
レッドブルは代役として、レーシングブルズからF1フル参戦2年目のローソンを招集。ローソンが抜けたレーシングブルズには、レッドブルとレーシングブルズのリザーブドライバーを務める角田裕毅が入り、F1参戦1年目のアービッド・リンドブラッドとコンビを組んだ。
今回はスプリント・フォーマットで、マシンを試せるフリー走行はFP1の1時間しかない。十分な準備期間がないなかで、異なるマシンへ適応する必要がある。
レッドブルがローソンを選んだ理由としてまず考えられるのが、2026年型F1マシンでの経験だ。
ローソンは今季ここまで11戦をレーシングブルズで戦っており、現行レギュレーションの新世代マシンをどう走らせればタイムにつながるのかを実戦のなかで学んできた。
マシンそのものはレッドブルとレーシングブルズで異なるものの、2026年型F1マシン特有の挙動やタイヤの使い方、エネルギーマネジメントなどについては、すでに十分な経験を積んでいる。
一方、角田は今季これまでF1レースに出場しておらず、2026年型マシンでの実戦経験がない。
ただでさえ異なるマシンへ急きょ乗り換える必要があるうえ、スプリント週末のため練習時間はわずか1時間。角田をいきなりレッドブルへ乗せた場合、レッドブルのマシンへの適応だけでなく、新世代マシンそのものへの適応という要素まで重なることになる。
そう考えれば、2026年型マシンで11戦を戦ってきたローソンをレッドブルへ乗せ、角田を以前所属していたレーシングブルズへ戻すという判断には合理性がある。
ローソンは、過去2年間のスポット参戦を経てF1フル参戦を果たし、その後レッドブルへ抜擢された。
しかし、レッドブルでは結果を残せず、わずか2戦でレーシングブルズへ降格。代わって昇格したのが、当時F1参戦5年目だった角田裕毅だった。
つまり、ローソンにとって今回のオランダGPは、もう一度レッドブルのマシンで自らの実力を示す貴重な機会となる。
RB22で結果を残せば、将来の再昇格へ向けた評価を高めることができる。一方で大きく苦戦すれば、レッドブル首脳陣の評価にも影響する可能性がある。
今回のローソン起用には、もうひとつ興味深い側面がある。
今季前半、ハジャーはレッドブルで好成績を残してきた。そのハジャーと昨季レーシングブルズで同じマシンを走らせていたのがローソンだ。
ハジャーがレッドブルで速かったのは、本人の適応力が非常に高かったからなのか。それとも2026年型のレッドブルが、昨季までのマシンよりドライバーにとって扱いやすくなっているのか。
同じハジャーと戦った経験を持つローソンがRB22を走らせることで、チームにとってはその一端を確認できる貴重な比較材料にもなる。
ローソン起用の直接的な目的がオーディションだったと断定することはできないが、結果的に今回の週末は、ローソンの現在地を測る絶好の機会になる。
角田もレーシングブルズに戻り、2026年型マシンで初めて実戦を戦う。
角田にとっては久々のF1復帰戦となる一方、レッドブルにとってはローソンのRB22での走り、角田のレーシングブルズでの適応、そして今季好調だったハジャーのパフォーマンスを比較できることになる。
今回のドライバー変更は、ハジャーの負傷によって突然生まれたものだ。
しかし結果的には、レッドブルにとってハジャー、ローソン、角田という3人のドライバーの現在地を整理し、今後のドライバー選択を考えるうえで貴重な比較材料を得られる週末となりそうだ。
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