ホンダ、F1技術も投入した1,300馬力超の怪物!砂漠に挑むハイブリッドマシンは「レース中にもアップグレード可能」
砂漠を駆けるマシンに、1,300馬力超のハイブリッドシステム。いかにもアメリカらしい、大胆な挑戦だ。しかも、その特徴はモンスターパワーだけではない。「レース中にも継続的にアップグレードが可能」だという。
ホンダ・レーシングの米国法人HRC USは、新開発のオフロードレース車両「ホンダ・パスポート・バハ・スペック(Honda Passport Baja Spec)」を発表した。
参戦するのは、メキシコのバハ・カリフォルニア半島を舞台とするSCOREワールド・デザート・チャンピオンシップの最高峰「トロフィー・トラック」クラス。同クラス初のハイブリッドマシンで、2027年11月に60周年を迎えるバハ1000の総合優勝を狙う。
■出力だけではない、ソフトウェアで引き出す性能
HRC USのケルビン・フー社長は、このマシンを「本質的にソフトウェアデファインドビークル(SDV)」と説明する。パワートレイン、シャシー、エネルギー管理を、独自のソフトウェアで統合している。
「これにより、レース中にも継続的にアップグレードが可能で、ドライバー、コース、レース状況に合わせてチューニングを行うことができます」
更新の具体的な方法は明らかにされていないが、ソフトウェアを軸に性能を引き出す仕組みは、大きな注目点だ。
前後輪のブレーキ・バイ・ワイヤやアダプティブ・トラクション・コントロール、AIを活用した出力制御も採用。F1、インディカー、IMSAなどで培った技術を、過酷な砂漠へ持ち込む。
■心臓部はアキュラARX-06のエンジンがベース
1,300馬力超を生む心臓部は、IMSAのアキュラARX-06 GTPに搭載される2.4L V6ツインターボエンジンがベース。デイトナ24時間やセブリング12時間などで実績を積んだエンジンに、専用の800Vハイブリッドシステムを組み合わせる。
その出力は、トロフィー・トラックで多く使われる9L V8自然吸気エンジンを上回る。大排気量V8が主流の舞台に、小排気量のV6と電動技術で挑む構図だ。
バッテリーパックもHRC USが自社開発・製造。1世代前のF1スタイルのパウチ型セルを、軽量なカーボンファイバー製ケースに収める。
■砂漠を走り抜く専用設計、バハ1000優勝者を起用
開発・製造はHRC USとメイソン・モータースポーツが共同で担当。四輪駆動シャシーに専用のリアフレームを組み合わせ、カーボンファイバー製ボディは数値流体力学(CFD)で空気の流れを最適化した。
中央に配置した約549Lの燃料タンクで、燃料消費に伴う重量配分の変化を抑える。トーヨータイヤとFOX Racing製ショックアブソーバーを備えたサスペンションで、多様な地形に対応する。
ドライバーには、バハ1000で2度の総合優勝を誇るブライス・メンジースを起用する。
■ホンダには二輪・四輪で積み重ねた実績
ホンダにとって、砂漠は未知の舞台ではない。二輪ではバハ1000で通算22回の総合優勝を誇り、四輪でも2015年以降、バハ1000の4勝、バハ500の5勝を含む計17回のクラス優勝を重ねてきた。
今回は最高峰クラス初のハイブリッドマシンで、総合優勝へ挑む。
マシンは米国時間10月29日にメディア向けに公開。11月3~6日にラスベガスで開催されるSEMAショーで一般公開され、2027年6月2~6日開催予定のバハ500で実戦デビューする。




