2015年のF1開幕まであと2か月を切るところまできたが、エンジンメーカーや各チームでは、エンジン開発の凍結緩和がどのような影響を及ぼすことになるのか、必死に分析を行っているようだ。
エンジンサプライヤーであるフェラーリとルノーがエンジンルールの抜け穴を指摘し、開発凍結の緩和を強く求めたことにより、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)は2014年から現在のV6パワーユニットを供給していたエンジンメーカーに対し、32の開発トークンの範囲でシーズンを通じてエンジン開発を継続することを認めることとなった。
当初、2015年から新規参入するホンダに関してはその緩和の対象外に置かれるという判断が示されていたが、ホンダとFIAの交渉により、開幕戦(オーストラリアGP/3月15日決勝)の時点でメルセデス、フェラーリ、ルノーそれぞれのトークン残数の平均を基準として、ホンダにもシーズン中のエンジン開発が認められることになっている。
だが、ホンダは2月末までは何の規制もなく自由にエンジンの開発を行うことができるとはいえ、実際にシーズンを迎えてからはライバルメーカーたちよりも実質的には開発の余地が小さくなってしまう。
■「FIAの意図はおおむね理解はできるが・・・」とホンダ
これに関し、ホンダの広報担当者はイギリスの『Sky(スカイ)』に次のように述べた。
「ホンダは日曜日(18日)の夜に正式な連絡を受けた。FIAの裁定はおおむね理解できるものの、すぐに我々の状況に関するコメントを行うことはできない」
また、2010年から4年連続でF1チャンピオンチームの栄冠に輝いていたレッドブルも、まだ今回の凍結緩和がどういう影響を及ぼすことになるのかについては慎重な見方をしている。
■「メルセデスに有利になる可能性も」とレッドブル
「現時点では、(凍結緩和による)利益があるのか、そうではないのか、まだはっきりとはしない」
そう述べたレッドブルは、次のように続けた。
「だが、さらに時間をかけることができるということは、パワーユニット供給メーカーにとっては最強メーカー(メルセデス)に近づくための試みを行うことができるのは確かだ。だが、彼ら(メルセデス)もまたホモロゲーション(認証)の時間枠がなくなることで利益を受けることは間違いない」
■「ライバルたちも力をつけてくるだろう」とメルセデスAMG
一方、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、19日(月)に、ライバルたちから激しく追い上げられているのは分かっていると次のように語った。
「ほかのチームが我々の背中を目標にしてこの冬を迎えたことは分かっているし、メルボルンで開催される開幕戦ではライバルたちが競争力を示すであろうと確信している」
そう述べたヴォルフは、次のように付け加えた。
「それゆえ、我々としても今年も優位に立てるようすべての詳細部分にまで集中していかなくてはならない。そして、それこそ我々が行ってきたことだ」
メルセデスエンジンの供給を受け、2014年にはコンストラクターランキング3位となったウィリアムズも、2015年シーズンもメルセデスエンジンの優位は動かないと考えているようだ。
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、ウィリアムズの技術責任者であるパット・シモンズが、2015年にはシーズン中にもエンジン開発が認められることで、2014年に圧倒的な強さを誇ったメルセデスエンジンが「その支配力をさらに強化できるだろう」と語ったと報じている。