ダニエル・リカルド(RB)は、F1シンガポールGPでファステストラップを記録し、チャンピオンシップを争う姉妹チームのレッドブルに貢献したが、元チームのマクラーレンを怒らせることになった。ポイント圏外を走っていたリカルドがファステストラップを獲っても1ポイントも得られないが、ランド・ノリス(マクラーレン)が得られるはずだった1ポイントを奪い、チャンピオンシップを争うレッドブルとマックス・フェルスタッペンの損失を最小限に抑えることにはなるためだ。
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この戦略は、レッドブルにとってランド・ノリスのポイントを抑えることにもなったのと同時に、F1キャリアが終わる可能性に直面しているリカルドにとっては「有終の美」とも言えるものだ。実際、RBのローラン・メキース代表は「最後かもしれないからレースを堪能させたかった」とプレスリリースで述べており、「彼にふさわしい締めくくりをさせたかった」とまで語っている。
リカルドが予選後に涙を浮かべている姿は、おそらく人生で最後のグランプリになることを悟っているようだった。
2022年にリカルドを契約満了までの1年を残して解雇したマクラーレンのザック・ブラウンCEOも、ファステストラップの1ポイントを奪ったリカルドに同情し、「これが彼の最後のレースでないことを願っている」と『Sky Deutschland』に語っている。
■リカルドはフェルスタッペンからのクリスマスプレゼントを期待
リカルド本人はというと、もしフェルスタッペンが1ポイント差でチャンピオンを獲得したら「素敵なクリスマスプレゼントを期待しているよ」と冗談交じりに述べた。
フェルスタッペンも「ダニエルには感謝しなければならない。数年後に僕が引退した時は、彼とビールを飲みながらF1の思い出を語るだろうね。彼は偉大なドライバーとして記憶されるだろう」とリカルドを称賛した。
■正式発表待ちのリカルド「オースティンにはいないだろう」
まだ公式な発表はないが、リカルドは今後の決定を待っている状態だ。
「(次のレース)オースティンでは僕の姿を見られないかもしれない。オースティンは僕の第二の故郷だから、どうなるかな。もうすぐ公式発表がされることは分かっているよ。今週末が終わったら、すぐにそのニュースが発表されるだろう」と認めている。
■マルコ博士とホーナー代表「シンガポール後に発表」
元F1ドライバーで現在は解説者を務めるラルフ・シューマッハは、シンガポールでのレース週末を前に、リカルドにとって最後のレースになるだろうと分かっていたと語った。
レッドブルのヘルムート・マルコ博士は次のように語っている。
「シンガポール後、我々は決定を発表する。ラルフ・シューマッハは、自分が我々の広報担当になると言いそうだったが、現時点では公式に回答することはできない。繰り返しになるが、決定はシンガポール後だ」
一方、リアム・ローソンは、おそらくアメリカGPでレースに復帰することになるだろう。
クリスチャン・ホーナーは「我々は、長年にわたり、多くの若いドライバーたちに素晴らしい機会を与えてきた。我々は、将来の選択肢についてじっくりと検討したい」と述べている。
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