F1カスタマーカー導入を巡る賛否両論

2012年06月29日(金)7:40 am

F1では、他者が製造した車体、いわゆるカスタマーカーでの参戦を認める新しいルール改正案をめぐって、意見が分かれている。

現在のF1ルールでは、それぞれのチームが独自に開発・製造したマシンで参戦しなくてはならない。しかし、それではコストがかかりすぎ、F1に参入できるチームが限られてしまうことから、以前からF1でもカスタマーカーを認めるべきだとの声が上がっていた。F1の商業権や運営方法、利益分配などに関して規定したコンコルド協定は今シーズン末で切れるため、各関係者が新協定の締結に向けて交渉を重ねている。そういった流れの中で、カスタマーカーの問題も再燃してきた。

今回の提案は、前年のマシンをほかのチームに販売することを許可するというもので、主にF1の最高責任者バーニー・エクレストンとフェラーリが推している。経費削減策の一環として、大規模チームにとっては新しい収入源になり、小規模チームにとっては設計・製造の負担減になるというのが売りだ。

しかしメルセデスAMGは、1年落ちの車体を小規模なライバルチームに売ることに、あまり乗り気ではない。

メルセデス・ベンツのモータースポーツ責任者ノルベルト・ハウグは、「去年のマシンで今年走ったとしたらどうなるか、考えてほしい」と語り、問題の難しさを指摘している。この発言の背景には、去年まで認められていた技術が禁止されたことで、今シーズンは大規模チームと小規模チームの差が大きく縮まったという事情もある。

一方、ロータスのチーム代表エリック・ブーリエは前向きだ。

「カスタマーカーの導入が、F1のためになり、将来のF1にとって必要なら、いいじゃないか。今、議論してもいいと思う」とブーリエは述べている。

では、カスタマーカーを買う立場となる小規模チームの意見はどうだろうか。ケーターハムは、2010年からF1に参戦しているが、まだ1ポイントも獲得したことがない。

ケーターハム・グループCEOのリアド・アスマットは、カスタマーカーについて質問されるとこう答えた。「1つのアイデアでしかない」

「われわれは自分たちの状況や築いてきたものに誇りをもっている。コンストラクター(マシン製造者)として参戦したのだし、今はコンストラクターであり続けたいと願っている」とアスマットは述べ、カスタマーカーに積極的ではない姿勢を見せた。

かつてフェラーリでエンジニアを務めていたホアン・ビラデルプラットは『AS』紙に対し、「この案はF1の神髄を損なうものだ。経費削減はほかの方法でするべきだ」とカスタマーカー導入案を批判した。

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