現実味を増すピレリのF1撤退

2013年06月10日(月)1:33 am

今シーズン限りでピレリがF1から撤退するのではないかとのうわさが日増しに現実味を帯びてきている。

2013年タイヤを酷評され、現在は「テストゲート」の渦中にあるピレリは、厳しすぎるF1のテスト規制やタイヤ特性の微調整に対するチームからの反発に不満を抱いているとされる。

先日、ピレリからの非公式テストの誘いを受諾し、バルセロナでタイヤテストを行ったとして、F1の統括団体FIA(国際自動車連盟)の逆鱗(げきりん)に触れたメルセデスAMG。20日(木)に国際法廷でこの件に関する聴聞会が開かれることになった。メルセデスAMGのチーム代表を務めるロス・ブラウンは7日(金)、ピレリが2014年もF1にとどまるか定かではない様子で次のように述べている。

「来シーズンに向けたテストに関する話し合いは、どこが来季のタイヤサプライヤーになるにしろ、間違いなく有益なものになる」

ピレリのモータースポーツ責任者であるポール・ヘンベリーは同日、「もしシーズン開幕前に新タイヤのテストが行えないなら、F1から撤退する可能性もある」とイタリアの『La Repubblica(レプブリカ)』に話した。

「手探り状態で続けることはできない」

「9月までに来季のタイヤ仕様書を準備しなければいけない。しかし、クルマがどのようになるのかさえ私たちは知らないんだ」

「2014年タイヤは幅広にするべきだと考えている。でも、どの程度かはわからない」

「今シーズンはテスト不足だったので、デラミネーションといった問題に直面した。それにサーキットでテストできなかったから、実験施設内で改良するしかなかった」とヘンベリーは打ち明けた。

また、改良された新タイヤを今月末のシルバーストン(F1イギリスGP/23日決勝)から投入することに反対のチームもいる。

「ロータスがいかなる変更も受け入れるつもりはない、と聞いた」とヘンベリーはフィンランドのテレビ局『MTV3』に語った。

「もし本当にそうなら、同じタイヤを残りのシーズンに使うよ。4回ピットストップのレースがまたあるだろうけど、私たちにどうしろっていうんだい?」

現にヘンベリーは、従来の2013年タイヤを引き続き使用するのなら、タイヤカーカスからトレッドがはく離するのを防ぐため、組み立てる際に接着剤を使用する方法に立ち返る必要があるかもしれない、と述べた。

「現実味は低いと思うけど、全チームからの同意を得るか、もしくはほかのアイデアを考えるかのどっちかだ」

ヘンベリーはイタリアの『La Repubblica(レプブリカ)』に対し、「このようなシーズンをまた送りたくない」とも述べている。

「私どものF1との契約は今季で満了する。タイヤ無しのF1なんてありえるのか? 私にはわからない。でも、もはや私には関係のないことだ」

「ひょっとしたら、手探り状態でも喜んで作業するサプライヤーを見つけるかもしれないしね」

ピレリのマルコ・トロンケッティ・プロベラ会長兼最高経営責任者(CEO)も「Tuttosport(トゥットスポルト)』にタイヤゲートについて意見を求められ、「心配はしていない。わたしたちはルールにのっとってきたし、今後もそうし続ける」と述べている。

ヘンベリーはこの機会に、ピレリがF1にとどまる条件を明確にするべきだと考えているようだ。

「聴聞会を待つが、話し合いを必要とする要件がいくつか出てくるだろう。私たちの事業にはっきりした影響を与える事柄について、いま意見交換を行っている」

「真実が明らかになるのを待っているだけではない。今後、違う方法で物ごとを行うのかという疑問も投げかけている」とヘンベリーはカナダの『La Presse(プレス)』に話した。

一方で、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、陰謀説を伝えた。

「ジャン・トッド(FIA会長)には秘密裏の計画があるのだろうか。ミシュランに門戸を開くため、故意にピレリの気を害し、自らF1から撤退するように仕向けているのかもしれない」と同誌のミハエル・シュミット記者は憶測をめぐらせている。

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