F1の表彰台に“本物のシャンパン”が戻ることが決定した。
ここ数年は『フェッラーリ・トレンティーノ(Ferrari Trentino)』がスポンサーを務め、ドライバーたちは表彰台でイタリア産の“スパークリングワイン”シャワーが行われていたが、F1のオーナーであるリバティ・メディアが『LVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)』と2025年から10年間のスポンサーシップ契約を締結したことで状況が変わる。
『LVMH』はフランスの多国籍企業で、『ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)』、F1で象徴的なシャンパン『モエ・エ・シャンドン(Moët Chandon)』、F1ではよく知られた『タグ・ホイヤー(TAG Heuer)』などの高級ブランドを傘下に持っている。
リバティ・メディアのCEOグレッグ・マフェイは「商業的取り決めの拡大は、フォーミュラ1がプラットフォームを成長させ続けるという私たちのビジョンの象徴です」と述べた。
■本物のシャンパンとは
シャンパンとは、フランス北東部シャンパーニュ地方で定められた条件をすべて満たしたスパークリングワインのことで、F1の表彰台に“本物のシャンパン”が戻ってきたというのはこのためだ。2025年からは“本物のシャンパン”によるシャンパンファイト、シャンパンシャワーが表彰台で見られることになる。
■シャンパンシャワーの歴史
F1の表彰台で振る舞われるシャンパンの歴史を振り返ってみよう。
F1が誕生した1950年、フランスGPの優勝者に『モエ・エ・シャンドン』がシャンパンボトルを提供したことがシャンパンとレースの最初の出会いとも言われているが、当時はシャンパンを飲むだけだったという。
それが1966年のル・マン24時間レースの表彰式でコルク栓が飛んでしまったことで意図せず「シャンパンシャワー」が誕生。
そして1997年のル・マンではアメリカ人として初制覇したダン・ガーニーがボトルを振って世界で初めての「シャンパンファイト」を行った。
ダン・ガーニー本人は「7回も完走できなくてやっと成功した。何か特別なことをしようと思って、消防ホースのように全員にかけたんだ。これが広まるなんて思わなかったよ」と述べているが、この行為に対して「誰もやったことがない、シャンパンを観客にかけるというとんでもないことをした」と言われる時代だった。
■F1公式シャンパンの歴史
1985年頃から1999年まではF1におけるシャンパンファイトの代名詞とも言えるシャンパンの『モエ・エ・シャンドン』、2000年から2015年までは『マム・コルドン・ルージュ(G.H.Mumm)』がF1公式シャンパンを務めた。
2016年はシャンパンではなくスパークリングワインの『シャンドン(CHANDON)』となり、2017年からはカーボンファイバーが巻かれたボトルが特徴的だったシャンパンの『カーボン(CARBON)』、コロナ渦の2020年には『モエ・エ・シャンドン』が1年間復帰し、2021年からはイタリア産スパークリングワインとして初めて『フェッラーリ・トレンティーノ(Ferrari Trentino)』がスポンサーを務めてきた。
そして2025年から2034年までの10年間、『モエ・エ・シャンドン』がF1に戻ってくることになる。